キックフリップが前足にくっついてフリックできないときの対処法

Last updated: 2023/06/18

なぜキックフリップが前足にくっつくのでしょうか?

フリックのエネルギーが回転軸と平行だからです。

力の限り強く板をフリックしても、なぜか板が前足にくっついてしまい、うまく回転させられなかった経験はありませんか?一方で、指の力ですら板を回転させることができることを誰しも知っているはずです。今回はこの「くっつく問題」を科学的に分析してみましょう。

Summary

なぜキックフリップが前足にくっつくのでしょうか?

くっつく問題は、フリックのエネルギーが回転軸と平行になったときに起こり得ます。板を効果的に回転させるためには板のx軸(=キックフリップの軸)に垂直な力を加える必要があります。前方にフリックすると、板をy軸(=フォワードフリップの軸)を中心に回転させることになってしまい、キックフリップが遅くなります。

どれくらい強くフリックすれば良いのでしょうか?

そんなに強くフリックする必要はありません。指ですら板をフリップできることと考えると、フリップに必要なエネルギーはとても少ないことがわかります。不必要に強くフリックすると、板が水平方向に回転してしまう問題を引き起こすことがあります。

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前提条件

本当に今以上に強くフリックする必要がありますか?

人間の脚は腕のおおよそ3倍の強さがあると言われています。指と比較して脚が何倍強いのかはわかりませんが、少なくとも圧倒的に強いはずです。

ということは、脚で板をフリップできなのであれば、単なる筋力ではない何かが足りない可能性があります。

キックフリップのメカニズムの再確認

x軸に垂直な力を加える

スケートボードをはじめ、世の中のすべての物体は3つの回転軸を持っています。一番長い軸をx軸とし、つま先側とかかと側を結ぶ軸をy軸とし、もう一つの縦軸をz軸としましょう。

板をできるだけ効率的にフリップしようと思うと、フリックの力はx軸に対して垂直であるべきです。キックフリップでは板のノーズ周辺をフリックすることによってそのような力を板に与えます。

前方にフリックすることでx軸に垂直な力が伝わるようにしましょう

フリックしている脚をよく観察すると、つま先が弧を描いて、持ち上がってきた板の軸に対して垂直な力を加えると、板が効率よくフリップすることがわかります。

これが一番難しい部分です。板が地面に置かれているときには地面に水平なx軸の角度を、テールをポップする事によって大きくし、前足を前方にフリックすることでその軸に垂直な力を加えることになります。

問題

なぜくっつく問題が起こるのでしょうか?

くっつく問題は、フリックする力がx軸に平行になると起こる可能性があります。

これによって、板を回転させるメインの軸がx軸からy軸に変わり、前方に板を回転させるようにエネルギーが働いてしまいます

その結果、キックフリップの回転力が弱まり、板が前足にくっついているように感じることになります。

さらに、y軸を中心に回転することでテールが不必要に高くなり、後ろ足にテールがぶつかってしまう可能性を高めます。どう頑張ってフリックしても裏キャッチしてしまうという人は、もしかしたらy軸を中心に板を回転させてしまっているからかもしれません。

x軸に垂直な力を与えるために下方向にフリックするのはどうでしょうか?

多くの人々が言うように、下方向にフリックすることは避けるべきです。

次のように考えてみましょう:下にフリックすることで、地面に対して垂直な力を発生させることができるかもしれませんが、結局、板に対して垂直な力は発生しません

下にフリックすることで発生する力は、板に対して斜め方向にしか働きません。その意味では、結局、下にフリックしても効率的に板をフリップすることはできません。

くっつく問題の原因になり得る二つのよくある間違い

1.身体を高く上げすぎる場合

もしも前膝を引き上げないまま身体を高く上げると、前足は弧を描くことができません。

代わりに水平に進んでしまい、板に垂直な力を加えることはほぼ不可能になります。

効率的に膝を引き上げるためには、膝を引き上げないまま不必要に高くジャンプするのを避ける必要があります。

もちろん、好きなだけ高くジャンプしても構いません。その場合は膝を胸に近づけて引き上げるようにしてください。

2.フリックする位置が重心から離れすぎてしまう場合

自分の前にフリックする場所が見えているため、つい脚を伸ばして届くような遠い距離でフリックしてしまうことがあります。

本来はもっと引き付けてからフリックを入れるべきであるのに、あまり遠くでフリックしてしまうと先ほどと同様に、x軸周りの垂直なエネルギーを生成することができません。

前足が伸びた状態で板を押してしまうと、板はy軸を中心に回転することになり、ノーズが下がってしまいます。

くっつく問題を避けるために心に留めておくべきこと

くっつく問題を防ぐためには、「不必要に身体を高く上げない」ことと「フリックを遠くにしない」ことを心に留めておく必要があります。ただし、これは言うのは簡単ですが、実際には難しいです。

フリックの感覚に慣れるために、両足で板に乗りに行く前に、板から降りながらフリックの練習をすることをおすすめします。以下で練習のステップを詳しく見ていきましょう。

練習

フリックの練習の重要性

良いフリックの感覚を身につけるためには、正しい方法で練習することが重要です。最初から両足で板に乗ろうとしないで練習することで、フリックする場所が遠くになっていないか、重心が高すぎていないかをより簡単にチェックすることができます。

というのも、フリックの感覚を身につけるために最初から両足で乗りに行こうとすると、全身の筋肉を使い多くのエネルギーを消費することになります。また、正しいフリックを身に着ける前は、プリモや裏キャッチで着地してしまい、恐怖心を増すことにつながってしまいます。そして恐怖心がますことによって、脅威の発生源である板から離れようと、より高くジャンプしようと思ってしまう心理が働きます。

トライする回数が増えるにつれて、恐怖心と疲労によって身体が固くなり、トリックがより難しくなります。

足の置き方

体の構造や足首の柔軟性は人それぞれ異なるため、複数のポジションを試して、自分に最適な足の位置を見つけましょう。

参考までに、私は前足を少し前のビスの手前に、後ろ足をテールのややつま先側に置いています。自分が快適と感じる位置に足を置いて、以下のステップを試してみてください。

ステップ1 しゃがんで身体を持ち上げる

身体をあまり高く持ち上げず、立っているときと同じ高さまで身体を持ち上げるようにしましょう。高く持ち上げると、前足が描く弧が板のx軸に対して垂直なエネルギーを発生させずらくなるため注意してください。

ステップ2 重心の位置に注意

フリックする時点で私は主に前足に体重をかけています。後ろにあまり傾きすぎると、フリックする足と身体の重心の中心との距離が広がり、フリックが及ぼす力の方向がx軸に対して平行になってしまいます

ステップ3 フリックする

前足をフリックします。フリックは素早くコンパクトに行いましょう。必ず頭の片隅においておいてください:板は指でフリップできるくらい軽いのです。x軸に垂直な力を与えることが出来さえすれば、必要以上に強くフリックする必要はありません。

不必要に強くフリックするとバランスを崩し、板が水平に回転する問題を生んでしまうことがあります。

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