ポイント
フロントサイド180の3タイプを理解する
FS180には「ポップして回しこむタイプ」「強化版オーリータイプ」「ピボットタイプ」の種類が存在します。それぞれのタイプで板への力の加え方や回転のメカニズムが異なるため、自分に合ったタイプを選び、段階的に練習することで効率的な上達が期待できます。初心者の方は「ポップして回しこむ」タイプから挑戦してみましょう。
板に働く物理現象
板への力の加え方や前足の操作、回転中の重心の位置などの物理的なメカニズムを理解することで、より正確でスムーズな回転を実現できます。例えば、「ポップして回しこむ」タイプでは後ろ足のポップで回転量のほとんどをねん出するのに対し、「強化版オーリー」タイプでは板を90度回転させた後で前足で残りの角度を回しこむことになります。
スイッチスタンスの恐怖心を克服するには
FS180はスイッチスタンスでの着地となるため、恐怖心を克服することが重要です。エンドウォーク、エンドオーバー、スイッチのチクタクなどの練習を通して、スイッチスタンスに慣れることで恐怖心を軽減し、スムーズに着地出来るようにしましょう。
デュアルプレーヤーを使って二つの動画を比較
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シミュレーション
中央のボタンを押すと3Dアニメーションが開始します。
フロントサイド180の3つのタイプ
タイプ1:ポップして回しこむ方法
ポップして肩を回して板を強制的に回しこむ方法です。
タイプ2:強化版オーリー
オーリーのようにポップして前足を使って残りを回しこむ方法です。
タイプ3:ピボットして残りを回しこむ方法
回転の途中で着地し、ピボットで残りを回しこむ方法です。
タイプ1:ポップして回しこむ方法
概要
まだスケートボードを始めたばかりの頃はこの方法がお勧めです。それほど高くオーリーできなくても、ポップして板を浮かび上がらせることができ、上半身を回転させることができれば180度回転することができます。
How to do it
足の置き方はすべてのやり方で共通で、前足はつま先を出した状態で置き、後ろ足はテールのかかと側に置きましょう。この理由は後程解説します。
アプローチの段階から肩を回しはじめ、ノーズが浮き上がるころには肩が90度回転している状態にします。
テールをポップします。つま先方向にテールを押し出すようにするとより強く回転をかけることができます。後ろ足は板の重心ラインよりかかと側にあるため、つま先側に押し出すことで板に効果的に力を与えることができます。
ここで前足に注目すると、前足を寝かせて板を摺り上げているように見えますが、前足は意図的に寝かせるわけではありません。後ろ足でテールをポップしたことでノーズが持ち上がり、前足を押し付けることで足首が寝た状態になるのです。自然にこの状態に移行できるようにするためにも前足はリラックスさせておきましょう。
空中では、前足のつま先は板の重心をフロントサイド方向に引っ張りながら回転させます。つま先を出した状態で配置するのはこの動作を楽にするためです。
体は先行動作で発生した回転力の慣性のため回転を継続し、人体に働く弾力性によって、先に回転しておいた肩の角度に両足がそろうように回転します。
このタイプの物理学
このやり方では成功のカギを後ろ足のポップが握っています。前足で積極的にノーズを操作する訳ではなく、トリックの間を通して終始ノーズは持ち上がった状態のままになります。前足を押し下げる必要がないことで動作が簡単になり、初心者でも比較的簡単にトライすることができますが、リアトラックが先に地面について回転が止まってしまいやすいため十分な力でポップするようにしましょう。
タイプ2:強化版オーリー
概要
オーリーと同じように、空中で板を水平にできた方が見栄えがします。このステップに進む前に、オーリーで前足を差し込めるようなりましょう。前足のこの動作を活用すると空中でノーズを押し下げてテールを持ち上げる、高度なFS180が出来るようになります。前足の高度な操作が必要になるため難易度が上がりますがきれいなFS180は挑戦する価値があるといえるでしょう。
やり方
先ほどと同様、アプローチの時点で肩の回転を開始しますが、あまり先行動作が強いとポップしにくくなるため、肩の角度は60度程度にとどめておきます。
静止状態でジャンプする場合も同様です。人間は肩と足の角度がそろっている時に最も効率よくジャンプするためのエネルギーを生み出すことができます。肩をある程度回転させた状態でも、十分にジャンプできます。しかし、体を回転させすぎると、体重を持ち上げるのに十分な力を生み出すことができず、バランスを崩してしまいます。
上体や体重を引き上げ、前足も重心に引き付けていきます。
ポイントとなるのは板が90度回転してからの動作になります。前足を最終的に前足が到達するポイントである斜め後ろに向けて押し下げます。
前足の動作によって板の重心を中心にノーズが下がり、反動でテールが上がります。この動作はちょうど刺しオーリーと同じものになります。
このタイプの物理学
先ほどのやり方との違いに気づいたでしょうか?十分ポップしてからノーズを下げることでテールが持ち上がり、空中で板が水平になるように動きます。ポップして、板が自然に下がってくるわけではありません。ノーズを意図的に下げるのです。このやり方では高さを確保しやすく、ダイナミックなFS180が可能になります。
ただし、板を蹴りだしてしまいやすかったり、重心の下に板をキープすることが難しいなど難易度は上がります。十分オーリーに慣れてから練習することをお勧めします。
タイプ3:途中で着地してピボットで回しこむタイプ
このタイプの物理学
最後に、回転の途中で着地し、ピボットで残りを回し切る方法を解説します。これに関しては物理現象から先に考えてみましょう。スケートボードがターンしている途中で突然前のかかと側のウィールが止まったらどうなるでしょうか。板の重心は進行方向と逆側にあるため、止まったウィールを中心にして重心が移動を継続することで板が回転します。この方法ではこの物理現象を活用して板を回転させます。
やり方
これまでと同じように肩を回しながらアプローチします。テールをポップしたら、前足から着地します。後ろ足を使ってテールを前に押し出して板を回転させ切りましょう。
よく見てみると、前足はトラックの上にあり、ノーズの上にあるわけではないことが分かります。エンドウォークなどではノーズの上に足を置くため勘違いされやすいのですが、前足はノーズの上になくとも板をピボットさせることができるのです。
ここで再び物理的な観点から考えてみましょう。板がピボットするためには、当然スライドする側のトラックに体重がかかってはなりません。しかし、必ずしもスライドする側のトラックを大きく空中に浮かせる必要はないのです。
これは、板の上に立っている状態では、体重は両方のトラックに均等に体重を分散させますが、体重が片方のトラックに偏ることで、後ろのトラックを十分動かすことができる程度まで体重が及ぼす圧力を減らすことができるからです。仮にトラックが浮いていないとピボット出来ないというのであれば、パワースライドのような、地面をスライドする動きは全くできなくなりますよね?ウィールが地面についていてもスライドできる点は、このトリックにおいても全く同じ話なのです。
ただし、あまり高く飛んでしまうと、ウィールにかかる圧力が高くなるためスライドがしづらくなります。高く飛ぶほど、スライドする方のウィールは空中に浮いている必要があるということになります。最初はなるべく低く飛んで、回転を完了させることに集中しましょう。
最後に、FS180で共通して課題になるのは、スイッチで着地するため恐怖心が付きまとうという点です。この感覚に慣れるためにはエンドウォーク、エンドオーバー、スイッチのチクタクを練習しましょう。きっと恐怖心が和らぐはずです。