足を上に摺り抜くと板は本当に回転するのか?キックフリップの科学2025

Last updated: 2025/07/18

「前足を斜め上にフリックする」。多くの解説動画ではこのように説明されます。でも、どれだけ強く摺り抜いても、デッキが回らないことはありませんか?正直に言ってください。もしデッキが自分の方に浮き上がってくるとしたら、斜め下方向に力を加えた方が回しやすいと思いませんか? では、なぜ多くの人が「斜め上にフリック」と表現するのでしょうか?彼らは嘘をついているわけではありません。ただ、「前足を斜め上にフリックする」という表現では、重要なポイントを見逃してしまっているのです。

まとめ

キックフリップは力の強さではなく方向が重要:デッキの回転軸に対して垂直に圧をかける

デッキを回すのに必要なのはパワーではなく、力の向きです。デッキの回転軸に対して垂直、かつ斜め下方向に力を加えることで、最も効率よく回転が生まれます。物理的に見ても、それが唯一効果的な方法です。

脚は持ち上がって見えるが、膝から見ると相対的に下方向の力を発生させる

脚全体は上がっているように見えても、膝から見ると下方向に振りだされます。この相対的な動きこそがデッキを回すためのフリックの力を生み出します。

正しいフリックは必ず「持ち上げ」と「フリック」を組み合わせる——真っ直ぐ斜めにフリックしても板は回転しない

キックフリップでは、前足を持ち上げてから外側へ弧を描いてフリックする動きが不可欠です。この「持ち上げてから弧を描く」動作こそが、物理的に理にかなった、きれいでコントロールされた回転を生み出します。

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物理の基本原則

この宇宙に存在するあらゆる物体は、回転軸に対して垂直な方向に力を加えたとき、最も効率よく回転します。スケートボードも例外ではありません。デッキの回転軸に垂直な力を加えると、最も効果的にデッキが回転するのです。これは逃れようのない基本的な物理法則です。したがってキックフリップでは、デッキが浮き上がるときに加えるべき力の方向は、上ではなく斜め下方向になります。

誤解しないでいただきたいのですが、斜め下方向に力を加えると言っても、それはデッキを下に蹴るという意味ではありません。そのように蹴ってしまうと、前足が先に地面についてしまいます。デッキに下向きの力を与えるためには、膝を中心に脚を振る必要があります。すねが真下に垂れた状態では、どれだけ力を入れても下方向の力は生まれません。しかし脚が内側に曲がっていれば、まずすねが下方向に落ちて、その後、弧を描くように再び持ち上がるのです。

キックフリップの分解解説

テールを弾き、前足を真上に持ち上げます。意識的にデッキを擦り上げる必要はありません。

テールを弾くと同時に、ノーズに押されて前足が内側に動きます。脚を垂直に持ち上げているため、自然と足がデッキを擦り上げ、その動きがデッキの浮き上がりを助けます。

ノーズを擦り上げていくと、デッキの重心と自分の膝の両方が上方向へ動き始めます。

足をノーズの側面に向かって外側に振り出します。

最初は足が斜め下方向に動き、そこから膝を支点にして再び弧を描くように上がっていきます。

この動きによって、前足はデッキが浮き上がる運動とは逆方向に力を加えることになり、それこそがデッキを効果的に回転させる理由なのです。

前足の軌道

Whythetrickのシステムを使って、キックフリップにおける前足の実際の軌道を見てみましょう。黄緑の線は、システムが自動的に検出した前足のつま先の位置を示しています。一見すると、前足がずっと斜め上に上がっているように見え、その後、重力によって落ちているように見えます。そして、まさにその印象が混乱の原因なのです。

実際に何が起きているのかを理解するには、「絶対的な位置」と「相対的な位置」の違いを区別する必要があります。フリック中は脚全体が上方向へ移動しているため、下方向への振りのスピードは脚全体の上昇運動に吸収され、その結果、足は絶対的には上がり続けているように見えるのです。

しかし、本当に重要なのは、膝の視点から見た前足による下方向への相対的な力です。脚とデッキが一緒に上がっていく中で、前足だけが下方向に動く——その速度差こそが、デッキを回転させる原動力となるのです。

上方向にフリックするとどうなるか

このようにすると、前足はノーズから受ける反発力を打ち消してしまいます。その結果、足が十分に内側へ動かず、そこから足を外側に振りだしても下方向には動きません。このとき生まれるのはデッキと平行な力だけであり、デッキが回転するために必要な回転軸に垂直な力は加わりません。 このような場合、デッキが前方に飛び出したり、前足にくっついたまま回転しなかったりする原因になります。重要なポイントは、「下方向の力」を生み出すことなのです。

もちろん、前足がフリックを終えた後に、斜め上方向へ動いていくことはあります。しかしこの上向きの動きは、あくまで「下方向の力を加えた結果として生じた副産物」にすぎません。それ自体が目的ではないのです。

強くフリックすべき?

「もっと強くフリックしなければいけない」という考えは忘れてください。 どれだけ力を加えても、その方向が間違っていればデッキは決して回りません。これは物理的な事実です。手で軽くデッキを弾くだけで簡単に回せることは、誰もが知っています。そして脚の筋力は、手や指の筋肉よりもはるかに強いのです。つまり、力自体はすでに十分に加えられているのです。重要なのは、どれだけ力を加えるかではなく、「どの方向に力を加えるか」なのです。

持ち上げてから、フリック

テールを弾く前の前足の位置と、フリックが完了した後の前足の位置——この間には無数の動きの組み合わせがありますが、前足が一直線に動くことは決してありません。必ず「持ち上げてから、フリック」。持ち上げてから、フリック。その理由は単純です。物理学の理にかなっているからです。

体重を持ち上げるには

これまで、前足の膝や脚を持ち上げることの重要性について説明してきました。しかし、デッキの上に着地するためには、前足だけを持ち上げるだけでは不十分です。体全体を持ち上げる必要があります。後ろ足でジャンプして前足を持ち上げればいいと思うかもしれませんが、それではうまくいきません。作用・反作用の関係により、前足を持ち上げると後ろ足は逆に下がる方向に動いてしまい、十分な空中滞在時間を得ることができなくなるのです。

この問題を解決するには、前足で体重ごと持ち上げるように意識してみてください。これは片足でジャンプする動きに似ています。脚よりもはるかに質量の大きい体重をまっすぐ上方向に跳ね上げることで、脚はあまり影響を受けずに自然と引き上げられるのです。

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