まとめ
テールは体の正面方向に蹴り出す
テールは体の正面方向に蹴り出します。なぜなら、人間の体はその方向に最も強い力を発揮できる構造だからです。横向きの状態では十分なキック力を生み出せません。
ポップの瞬間まで後ろ足を見続ける
テールを蹴る際、体を回しすぎてしまいやすいものです。しかし、蹴りたい対象を視野内にキープする事で、蹴り出す方向をコントロールできます。
重心はリアトラックの近くに置く
重心をリアトラックの近くに置くと、ポップ時にテールが自分の正面に出てきて、前方向へ蹴り出しやすくなります。一方で、重心が前すぎるとテールが視界から外れ、キック力も弱くなってしまいます。
なぜ板は回転するのか?
最も単純な答えはもちろん、「十分なエネルギーを受け取っているから」です。ですが、どれだけ強くテールを蹴っても板が回らないことがあります。それは私の蹴る力があなたより強いからではありません。この問題の秘密は、人間の体の構造にあります。つまり、蹴りたい対象が体の正面にあるとき、人間の蹴る力は最大化されるのです。サッカーでも、強くボールを蹴りたいときはボールを体の正面に置きますよね。
この動きを見てください。テールをポップする瞬間、体と板はすでに回転を始めていますが、テールは常に体の正面に位置しています。その結果、板は地面をしっかりと叩いて跳ね上がり、十分な回転力を得ます。蹴りたいものが正面にある方が強い力を発揮できるのは明らかですが、フロントサイドトリックになると、多くの人がこの基本を忘れてしまうのです。
回転を完成させようとするあまり、上半身の回転ばかりに意識がいってしまうことがあります。すると、後ろ足が視界の外にあるテールを蹴ってしまうのです。これはまるで、後ろを向いたままサッカーボールを蹴ろうとするようなものです。それでどれだけの力が出せるでしょうか?人間の体の構造上、それが非効率なのは明らかです。

つまり、テールを「最適角度」、つまり、自分の体の正面で最も強い蹴りができる角度に保つことが重要なのです。
肩の回転というパラドックス
ここでひとつのパラドックスが生まれます。「最適角度」でポップすれば蹴りの力を最大化できますが、同時に体全体を回転させるためには肩を回す必要もある。つまり、「肩を回しすぎてはいけないが、回さなければならない」という矛盾です。この矛盾を解く鍵は、しゃがむときのスタンスにあります。上半身を完全に横向き、もしくはそれより少し後ろ向きに構えるのです。

体を伸ばしながら、肩をおよそ45度回しつつ後ろ足を前方向へ蹴り出します。テールを押し下げ始めてから地面に触れるまでの間、板は肩の動きと連動して地面上で回転し、体の正面で蹴り出すことができます。板と体がテール接地前から回転を始めることで、「肩を開いて体を回転させる」動作と「最適角度で蹴りの力を最大化する」ことを両立できるのです。
視線の方向
とはいえ、180度回転しなければならないとわかっている状態で、体の回しすぎを抑えるのは簡単ではありません。そこで助けになるのが「視線」です。視線を使うことで、蹴り出す方向を意識的にコントロールできます。ポップの瞬間までは、後ろ足を見続けてください。蹴りたい対象を視界に捉えることで、文字通りその一点にエネルギーを集中させることができます。
ただし、後ろ足を見続けていると進行方向が見えなくなります。オーリーでは前足を見ながら、同時に進む先を視認できますが、このトリックではそれができません。この感覚に慣れるには少し練習が必要です。
重心の位置
オーリーでは、重心を板の中央付近に保ちます。しかし、フロントサイドビッグスピンでは、重心をリアトラック寄りに移動させます。そうすることで、地面からの反発力がリアトラックを通じて直接重心へと伝わり、より高く浮き上がることができます。

ただし、これは単に浮遊時間を稼ぐためだけではありません。重心の位置は、板の回転速度にも大きく影響します。体の回転と組み合わせることで、後ろ足を前方向へ蹴り出すと、体重が後方へ移動し、その反動でテールが自然と前方へ振り出されます。最初はテールが自分の後ろ側にありますが、地面に触れる頃には重心の前へと移動しているのです。

もし体重を前にかけすぎると、テールはずっと後ろに残ってしまいます。体はすでに前方斜めを向いており、その状態で蹴る方向はスウィートアングルから外れてしまいます。

重心の位置は、想像以上に後ろ側にあることも多いです。私自身は、前膝を内側に傾けています。単にスタンスを狭くするよりも、この方が重心をリアトラックの上にしっかり乗せやすいのです。自分の体に合った調整をいろいろ試してみてください。
スタンスと足の置き方
一般的に「前足はヒールフリップのように、つま先を少し出して置き、後ろ足はフロントサイド・ポップショービットのようにトゥサイド寄りに置く」と言われます。後ろ足でヒールサイドに圧をかける一方で、前足をトゥサイドに置くことは科学的にも理にかなっています。それがカウンターウェイト(つり合い)として機能し、板を水平に保つ助けになるからです。

ただし、前足の角度にはそれほどこだわる必要はありません。 私の場合、前足は少しだけ開き気味に置いています。これは足首が硬いためで、板に対して直角に置くと深くしゃがめないからです。角度を少し開くことで、しゃがんだときにも前足の面積がより多く板に接し、安定感が増します。

後ろ足の位置は、フロントサイドポップショービットとほぼ同じで構いません。後ろ足の役割はあくまで板を蹴ることであり、内側にひねる動作は伴わないため、過度に角度をつける必要はありません。