サマリー
No Comply 180の仕組み
No Comply 180は、前足を地面に着けたままボードを180度回転させる技です。ボードがすねや太ももに当たらないようにするには、前足をひねってボードから滑り落とし、ボードを十分に角度をつけて脚の間を通るようにします。
トリック成功の鍵
ポップの方向と力は、ボードの回転に大きく影響します。後足はボードの回転を支え、その動きをガイドしてフリップを防ぐ上で重要な役割を果たします。前足のヒールサイドのウィール方向に動かしましょう。
「デュアルプレイヤー」を使って動きを比較しよう
Whythetrickが開発した「デュアルプレイヤー」は、2つの動画を並べてフレーム単位で比較できるツールです。他の人の動きと自分の動きを分析し、パフォーマンス向上に役立てることができます。
3Dシミュレーター
中央のアイコンをクリックするとトリックの3Dシミュレーションが起動します。
物理現象
よくある誤解
よくある誤解の一つとして、180という名称であるため勘違いしてしまいやすいのですが、このトリックでは板が水平な状態のまま180度回転する訳ではありません。水平状態のまま180度回転させようとすると、後ろ側のトラックを中心に板が回転し、板が前足の脛にぶつかってしまいます。
板の本来の動き
実際の板の挙動を見てみましょう。後ろ足がテールをポップすることによってノーズが持ち上がり、板はその状態になってから回転します。真上から見てみるとわかりやすいはずですが、この状態では、水平方向に回転する際の半径が小さくなるため、板は前足に干渉することなく回転します。
止まった状態で板をフロントサイド方向に回転させようとこの特性がより顕著に現れます。水平方向に板を回転させようとして後ろ足をつま先側に押し出すと、板が前足の脛にぶつかってくるように回転します。
やり方は後ほど詳しく解説しますが、適切な方法でポップすれば後ろ足と近い角度までノーズが持ち上がり、板は股の間をくぐるように回転します。この特性を頭の片隅に置きながら、実際の練習方法を考えてみましょう。
前提
動きながら練習
はじめに、板が脛にあたりやすいため、止まった状態で板を回転させる練習はお勧めしません。動いていれば板が水平に近い角度の場合でも板を前に押し出すことができるので脛にあたりにくくなります。
足の置き方
最初のステップとして、前足をつま先だけ前のボルトの付近に、後ろ足の全体をテールに置きます。
体重の配分
重心を若干前足寄りに置きます。前足はつま先が板の端に乗っている状態であるため、重心が前足に乗ったことで板がかかと側に傾く事になります。その結果、板は若干フロントサイド方向に回転するようになるはずです。
肩の角度
板のこの特性に加え、肩を回転させて板がフロントサイド方向に回転するようにしましょう。
前足を下ろす
前足をひねってずり落とす
ここで前足を地面に下ろしますが注意してください。前足はジャンプして下ろすのではありません。つま先しか乗っていない前足を回転させてずりおろします。垂直な軸を中心に回転させるため、足を開くような動作になります。
ジャンプして板から降りる動作との違い
もちろん、ジャンプして前足を下ろすことも可能ではあります。しかし、ジャンプした結果、重心が持ち上がった位置から下降するため、着地したときに体には下向きの加速度がついた状態になります。この加速度を打ち消しながら再度ジャンプして板に乗ろうとするとタイミングが遅れる原因になります。そのため、なるべく前者の方法で前足を下せるようにしましょう。
後ろ足を送り込む
ポップして板の角度をつける
前足を地面に下ろした後は、後ろ足でテールを前方に送り込みます。後ろ足を動かす方向は、板のセットアップや体の構造によって変わりますが、私の場合は前の踵側のウィールの方向にテールを押し込むようにポップしています。これによって板が適切な角度まで持ち上がることができます。
板がうまく回転しない場合は後ろ足を押し出す方向と強さを調整してみてください。あまり前に押し出しすぎてしまうと板が飛んで行ってしまい、板に着地することができなくなります。また、強くポップしすぎると、板が腿や股にぶつかってしまいます。逆にテールをポップする力が弱すぎると、板の回転が途中で止まってしまいます。
どのくらいの強さでポップする必要があるか?
最終的には練習が必要になりますが、どのくらいの力でテールをポップしたらいいか悩んでいる方は、このように考えてみてください。板に乗っている状態では両足が板を押し下げていますが、前足が地面に降りると後ろ足だけがテールを押し下げることになります。これによって意図することなくテールを押し下げる力が働くため、後ろ足ではごくわずかに力を加えるだけで、板に十分な回転力を与えることが可能になります。
フロントサイド方向に回転すると楽に回せる
慣れないうちは、フロントサイド方向に意識的にターンするところから始めましょう。ターンしている間は重心がかかと側にすでに移動しているため、足を垂直な軸を中心に回転させるだけで、簡単に板からずり落とすことができます。意図的に前足を板から移動させる必要がなくなります。
板が回転している間の物理現象
慣性を活用する
また、前足は地面で動きを止めますが、体や板に働く慣性は同じ方向に運動を継続しようとします。これによって前足を中心にしてNo Comply 180の動作を自然に作り出すことができます。まっすぐ前に進みながら練習するのは慣れてきてからで構いません。
板が回転している間は、後ろ足がずっと板に触れているわけではありません。止まった状態で練習した際に、一瞬のポップにもかかわらず板が180度回転したことからもわかるように、ノーコンプライ180では継続的に後ろ足で板を押し続けるわけではないのです。
このことは、ノーコンプライ180と同じ足の使い方でノーコンプライフロントサイドショービットが可能である事も証明しています。後ろ足は瞬間的に板をポップするだけで、継続的に板を押す訳ではありません。
その代わり、後ろ足は、フロントサイド方向にターンしたり肩を開いた結果としてテールと一緒に回転するように動きます。また、後ろ足には板がフリップしてしまわないように板の挙動をガイドするという重要な役割があります。ノーコンプライ180では前足が板を傾かせるため、ブッシュゴムが板をもとに戻そうとします。板が空中に出た後もこの力が残るため、板がフリップしてしまうことがあります。後ろ足はテールと一緒に回転することでこのフリップを抑制してくれます。
ランディング
スイッチの着地に慣れる
トリックの終盤にかけては、ノーズが下がり、板が再び水平に近づいてきます。他のトリックと同様に、着地が一番難しいところです。このトリックに慣れていなければ、まず後ろ足で板を押さえ、準備が整ってから板に飛び乗るようにしましょう。だんだん板に乗りに行くまでのタイミングを早めていけば、板が地面に到達する前に飛び乗ることができるようになるはずです。
スイッチで板に飛び乗ってみる
スイッチスタンスでの着地になるため恐怖心との戦いになります。このトリックに取り組む前に、地面に置いた板にスイッチで着地してみるのも効果的な練習です。このトリックにはたくさんのバリエーションがあります。楽しんで練習しましょう。
Dual Player
もしNo Comply 180の着地に苦戦している場合は、Whythetrickの「デュアルプレイヤー」を使って他の人の動きと比較してみましょう。
このシステムでは、自分で撮影した動画をアップロードするか、YouTubeのURLを指定することで、2つの動画を並べて再生することができます。下部のコントロールバーを操作して、2つの動画を同時にフレーム単位で確認できます。
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