今回は、Systema Skate(wadalooping_skate)のWadaloopingさんをゲストにお迎えしました。2種類の異なるキックフリップを比較しながら、「絶対に必要な動作」「避けるべき動作」、そして「スケーターの好みによって変わり得る要素」を科学的な視点から分析していきます。

トリックの問題とその解消法を瞬間的に発見。

動作の分析に必要な全てが詰まったシステム。

日々の進歩の記録に加え、他のメンバーに質問。
フリックの動作の比較
まずはフリックの動作(足を摺り抜く動作の事)について考えながら、お互いの足の使い方を比較してみましょう。彼の場合、足首を非常に柔軟に使い、極めてコンパクトで素早い足首の動きによって板を回していることが分かります。
角度を見ると、フリックの動作はおよそ50度あたりから始まっています。動き出すと前足のつま先が下がり、板を弾き、最終的におよそ100度あたりまで到達しています。
では、僕の場合はどうでしょうか。僕の方が膝を高く引き上げていて、意識としては足首を使おうとはしていません。膝下をほんの少しだけ振り出すようにしているだけで、この地点以降に起こることは、足首が上向きにフリックする動きも含めて、すべて慣性による結果です。
では、僕たちに共通しているものは何でしょうか。それはフリックによって力を加える方向です。下方向、そして前方向に向かいます。
ここでよくある間違いが、上に向かってフリックすることです。しかし、上向きのフリックだけでは回転させる力は生まれません。板がこのように上がってきたところに、真上へ向かってフリックしたと想像してみてください。板と足が一緒に上がるだけで、回転力は発生しませんよね。
上方向へフリックすること自体が間違いなのではありません。重要な点が抜けているだけです。同じ動きをするとしても、今度は脚を傾けてみてください。動作そのものは同じでも、板に加わる力の方向が変割ることが分かるはずです。
お分かりいただけるでしょうか。どちらの場合も、使っている筋肉は同じです。つま先を持ち上げるための筋肉です。ただし、脚を傾け、足首を寝かせることで、力の方向が変わります。その意味では、真上へフリックすることは間違いだと言えます。しかし、上向きにフリックするための筋肉を使うこと自体は間違いではないのです。
フリックに関するよくある誤解
よくある誤解のひとつに、「前足は地面からみると上昇するのだから、上にフリックすべきなのだ」という考え方があります。しかし、これは正しくありません。例えば、空中に浮いているスケートボードを回転させたいなら、力は下方向に加えるはずです。ただし、ロケットに乗っている状態だとして、外から見ると、フリックの軌道そのものは上方向へ向かっているように見えます。
キックフリップでも原理は同じです。板に加えるべき力の方向は斜め下方向です。そして、膝が上昇している、あるいは少なくとも下がっていない限り、どれだけ下方向へフリックしても足が先に地面へ触れることはありません。もちろん、脚全体を下へ蹴り出すのは間違いです。しかし、足首を寝かせてからフリックすれば、足が地面に触れることなく、好きなだけ下方向へ力を加えることができるのです。
膝の角度の比較
3Dモデルを使って、お互いの動きを比較してみましょう。彼の場合、最初は膝が閉じた状態から始まり、フリックの動作の終盤に向かって少しずつ開いていきます。
僕の場合、動き始めの時点ですでに膝がかなり開いていて、そのまま終盤まで開いた状態が続いています。
ここから分かるのは、誰にとっても共通して必要なのは、フリックする瞬間までに膝が開いていることです。ただし、それまでの過程で、肩を板と平行に保ち、前の膝をつま先側側へ向けるのか、それとも肩を開いて膝を前方向へ向けるのかは、好みによって変わってよい部分です。僕のフォームは見た目が悪いですが。
前の膝を開かないと何が起こるのか
前の膝を開くことで、前足はノーズの側面を摺り抜けるようになり、板を回転させることができます。逆に膝が開いていないと、前足は板を前方へ押し出してしまいます。
ノーズをかかと側方向へ摺り抜くべきだと理解していても、人間の身体構造上、膝はその方向へ曲げることができません。そのため、板を回転させる方法として一番もっともらしく思えるのが板を下へ蹴るという選択肢になってしまうのです。
さらに問題を悪化させるのが、「上にフリックする」という表現です。前足が地面へ落ちてしまうため、さらに高く前足を持ち上げようとしてしまいます。しかし、先ほど説明したように、上向きにフリックすること自体はフリップを生み出しません。しかも、気付かないうちに前足はそれ以上持ち上げられない位置まで到達し、結果として下へ蹴る以外の選択肢がなくなります。つまり、下へ蹴ってしまうから上へフリックしようとするのですが、その考え方こそが、さらに強く下へ蹴ってしまう本当の原因なのです。
この悪循環を断ち切るためには、「上へフリックする」という考え方を忘れてください。そして前の膝を開き、こちらの方向へフリックの力を向けるのです。


