オーリーが曲がる現象をケーススタディをもとに科学的に解説

Last updated: 2025/11/18

真下にポップし、前足をまっすぐ前にスライドしているつもりでも、空中で板が回転してしまうことがあります。 これはなぜなのでしょうか。

多くの場合、板が回転する理由として「肩が開くから」と言われます。 しかし、その因果関係は逆である可能性もあります。 すなわち、脚からの力が意図せず肩を開かせていることがあるのです。

概要

オーリーが回転してしまう理由

オーリーが回ってしまう要因は、 肩が開いて水平方向の回転が生じる場合、あるいは 空中で肩が閉じ、その反作用として脚が逆方向に回される場合 のいずれかの可能性があります。それ以外のケースについては自己診断ツールで確認してみてください。

どう対処するか

体をまっすぐ上方へ持ち上げることが重要です。 この練習ではテールを強く弾く必要はありません。 肩の角度は「デッキと完全に平行」である必要はなく、安定した角度を保ちながら、ただ垂直方向に跳び上がることに集中します。

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前提

本当に「肩」が原因なのか

オーリーにおいて、ポップと擦り上げは欠かせない要素です。 しかし、それらだけに注目すると見落としてしまう重要な要素があります。 それが、荷重配分です。

荷重配分が板の回転を生む仕組み

前回の解説では、 身体がかかと側へ傾いたときに板がどのように回転するかを検証しました。

この状態では、身体を支えるために前足が体重の下に引き込まれ、 その結果としてノーズがかかと側に引っ張られることで板の回転が生じることを紹介しました。

ケーススタディ

後ろに傾いていないのにオーリーが回転する場合

スケーター仲間のひとりが、 この動画 を共有してくれました。彼は後傾していないにもかかわらず、オーリーが回ってしまうとのことでした。

動作全体を通じて重心はデッキ上に保たれているように見えます。 しかし、オーリーの終盤で板が唐突に回転を始めます。

特に注目すべきは後ろ足の動きで、 テールを前方へ押し出すような力が働き、回転のきっかけとなっている ように見えます。

肩が開くことで板が回転する

この現象の最終的な要因は、やはり肩にあります。

上昇動作の途中で肩が開くと、 身体とデッキの双方に水平方向の回転エネルギーが与えられます。

しかし、彼が意図的に肩を回しているとは考えにくく、 別の要因によって肩が無意識に開かされている 可能性があります。

肩を閉じても板が回転することがある

肩が開く理由を考える前に、別の観点も確認しましょう。 それが、作用反作用です。

空中で肩を閉じる動作を行うと、角運動量保存則により、下半身が反対方向へ回転しやすくなる ため、これも板の回転要因となり得ます。 このケースでは、両方の仕組みが同時に働いているように見受けられます。

原因のまとめ

いずれのメカニズムでも、肩が回転の中心的な役割を果たします。 では、どう対処すべきでしょうか。 肩を無理に固定し、力づくで抑え込むべきなのでしょうか。

その前に、肩が開いてしまう理由を丁寧に分析し、 効果的な解決策を導く必要があります。

なぜ肩が回転してしまうのか?

理由1 本能的な反応

最も単純な理由は「本能」です。ジャンプし着地に備える際、身体が正面を向く姿勢は 安定しやすく自然であるため、肩が前方へ開く動作が無意識に起こりやすくなります。

そのため、自分では意識していなくても肩が勝手に開いてしまうことがあります。

理由2 前後方向の荷重移動

しゃがむ動作では、身体の軸は一般に前方へ傾きます。 この姿勢から垂直方向へ跳び上がると、意図せず 「ねじれ(スクリュー)効果」 が生じることがあります。

身体を上方へ持ち上げつつ地面を強く押し込む際に、 垂直方向の力だけでなく水平方向の力も同時に働きます。 しかし後ろ足は地面を動かせないため、その力は体の軸に伝わり 最終的に肩の回転として現れます。

このように、肩が開くこと自体が問題の根本ではなく、 身体軸が前後に揺れる結果として肩の回転が生じているのです。

また、この症状は重心がかかと側に寄っているかどうかとは必ずしも関係ありません。 身体軸が揺れ動くかぎり、肩が開きやすい状態は続きます。

理由3 擦り上げの意識が強すぎる

オーリー練習では、前足の擦り上げが最も意識を向けやすい動作のひとつです。 また、擦り上げを見るために肩を開いた状態で練習してしまうこともあります。

この習慣が強く身についてしまうと、空中で前足を引き上げる際にも 無意識に肩を開いてしまうという現象が起こります。

ではどうするか

身体をまっすぐ上へ持ち上げる

これまで挙げてきた問題は、ひとつの原則に集中することで解消できます。 それは、身体を垂直方向へまっすぐ持ち上げることです。

この練習ではテールを弾く必要はありません。 肩の角度は無理に揃える必要はなく、安定していると感じる位置を保ちながら、 身体全体をまっすぐ上へ引き上げます。 この動作だけで、前述のすべての問題を抑えることができます。

理由1「本能的な反応」への効果

垂直方向への跳躍を繰り返すことで、 自身の身体構造に適した姿勢を自然に学習し身につけることができます。 しかもデッキから離れずに行えるため、安全性も高く効率も良い方法です。

理由2 「荷重移動によるスクリュー効果」への効果

この方法により、重心をデッキの真上に維持したまま上昇する感覚を身につけることができます。 身体軸を左右や前後に振らないよう注意し、デッキの真上でしゃがみ、 そのまま真上へ跳び上がることを意識してください。

理由3 「擦り上げ意識の過多」への効果

このアプローチを取ることで、前足の擦り上げに気を取られるあまり 無意識に肩を開いてしまう癖を抑制できます。

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