バックサイド50-50グラインドの秘密を科学的に分析

Last updated: 2025/11/18

オーリーやバックサイド180ができる方でも、適切なロック位置に入れず苦戦することは珍しくありません。

私自身の経験としても、フィーブルのような形で掛かってしまったり、ボードスライド気味に流れたり、ウィリーのように傾いたり、そもそも対象物を捉え損ねたりすることがあります

本シリーズでは、こうした問題がなぜ起こるのかを物理学的な観点から解説し、従来どおり 3D モデルを用いて整理します。

まとめ

正しいタイミングがカギ

グラインド中に不安定になる、アウトが出せない――いずれもよくある悩みですが、最も大きな壁は正しい位置にロックインできないことにあります。適切なタイミングを掴めば改善できる場合が多い技でもあります。

姿勢を一瞬だけ保つこと

しゃがむ動作では身体に下向きの運動量が生じます。この縦方向の力が邪魔となり、対象物に乗り上げる動きを妨げます。これに逆らわないためには、しゃがんだ直後に姿勢をわずかに維持し、関節や筋肉にそのエネルギーを吸収させ、熱として散らす時間をつくることが重要です。

高い対象物では早めにジャンプする

高めの対象物に挑む際には、下向きの運動量を利用して筋肉に張力を生み、より強い上方向のジャンプ力へ変換する必要があります。そのためには、エネルギーが吸収される前、しゃがんだ直後のタイミングで跳び始めることが求められます。

シミュレーション

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課題の分類

まずは、よく見られる課題を整理します。主に次の三つに分けられます。

  1. ロックイン(=板をかける・乗せる動作の事)がうまく決まらない
    • 意図せずフィーブル気味に掛かってしまう。
    • ボードスライド方向へ流れてしまう。
    • ウィリーのように傾いてしまう、など。
  2. グラインドの維持が難しい。
    • ヒール側へ降りてしまう。
    • 想定より早く対象物から落ちてしまう。
  3. きれいにアウトできない。

私の観察では、特に最初のロックインの問題が最も多い印象です。

解決へのアプローチ

主な課題が明確になったところで解決方法を考えてみましょう。本稿では特に重要な要素である タイミング に焦点を当てます。

タイミングという性質上、ここでは少し変則的に、順序を逆から辿る方法を用います。

身体はどこに位置していなければならないのか

まず、すでにグラインドしている瞬間を想像してください。グラインドの瞬間、身体は対象物の上に適切に配置されていなければなりません。

その位置にどう到達するのか

姿勢や荷重配分は速度や進入角度によって変化しますが、一般的にはレッジのすぐ隣辺りでポップする必要があります。

ポップの前には何があるのか

さらにその前段階を考えると、ポップに備えてまずはしゃがみ込む動作が存在します。

問題の原因

最も重要なのは最初の段階

実は、最も重要なのはこの一連の動作の最初の部分です。

しゃがむ動作では、身体全体に下向きの運動量が生じます。この縦方向の力が身体を下へと押し込み、効果的な上方向のジャンプを妨げます。

この状態でポップしようとすると、身体の下降による下向きの運動量と、ポップで得たい上向きの力が互いに打ち消し合い、脚が圧縮されるような状況になります。

その結果、どれほど強くポップしたとしても、身体は十分に持ち上がらず、空中での調整時間が不足します。

空中で板の角度を整えられないため、フィーブルのように掛かってしまったり、意図せずボードスライドに入ってしまったりします。

解決策

下向きの運動量と競合することこそが問題の本質

まず理解しておきたいのは、下向きの運動量は永続的なものではないという点です。

小さな段差から降りたときの感覚を思い出してください。着地の瞬間こそ身体に重さが伝わりますが、その感覚はすぐに消えていきます。同様に、しゃがむ動作で生じた下向きの運動量もごく短時間しか残りません

なぜなら、関節や筋肉がそのエネルギーを吸収し、熱として散逸させるためです。

低い姿勢を維持することの利点

ここで重要なのは、このエネルギーの散逸は自然に起こるということです。つまり、身体が反射的に行ってくれる処理なのです。

とすれば、下向きの運動量に逆らいたくないのであれば、ほんの一瞬待てばよいのではないでしょうか。

すなわち、しゃがんだ姿勢をわずかに保つことで、筋肉や関節が自然と下向きの運動量を吸収してくれます。

その結果、下向きのエネルギーが消えるだけでなく、身体の軸も安定し、無理のない上方向の動作につなげやすくなるのです。

実践

実際の適用方法

先ほどの原理に加えて、太ももとふくらはぎの役割の違いを理解しておくことが重要です。

ポップそのものを行うのはふくらはぎですが、それだけで身体全体を持ち上げることはできません。身体を押し上げる主力は太ももが担います。

したがって、まず太ももで脚を伸ばし、その後にポップを行うという順序を確実に意識してください。

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