概要
テールを弾く前に、重心をかかと側へ移す
重心をあらかじめかかと側へ寄せておくことで、無理な力を加えずともテールを前方に押し出しやすくなり、体も自然にかかと側に移動します。
板はおよそ7〜8時方向へ着地する
テールが前へ押し出されると、リアトラックのかかと側ウィールが支点となり、結果として板全体がかかと側へ外へ向かって振りだされるように動きます。
肩の角度は一定に保つ
肩の角度を途中で変えないことが安定した回転につながります。肩の向きが必ずしもデッキと平行である必要はありません。
シミュレーション
アイコンをクリックすると3Dシミュレーションが起動します。
物理的な仕組み
テールを前へ押しつつ、下方向へポップする
まず技術的な話に入る前に、この動作がどのような物理で成立しているのかを確認します。
回転を生み出すためには、テールに水平方向の力を加える必要があります。また、この横方向の力に加え、テールが地面を叩くように下方向へとポップする力も不可欠です。
これらの力が実際にどのような結果をもたらすのか、物理シミュレーションで観察してみましょう。
ここでは、時計盤のような方向ガイドの上に板を置き、テールのかかと側に白い球を落とします。
緑の線が球の水平方向の位置、黒の線がその軌跡を示します。
板が元の位置からおよそ7~8時方向へ着地しやすいことが確認できました。
テールを斜め下方向へポップすると、リアトラックのかかと側ウィールが支点となります。
デッキ前方の質量が大きいため、板全体が外側へ振られ、7時方向付近へ着地するのです。
以上の物理現象から、次の2点が本質的な要件として導かれます。
- テールに水平方向の回転力と下向きのポップを同時に与えること。
- 回転が完了する頃には、身体をかかと側へ移し終えていること。
実践
テールを前へ押し出す方法
最大の疑問は、「膝が前に曲がらないのに、どのようにして前方向の力を加えるのか」という点です。
結論として、ポップ前に重心をかかと側へ置くことで、「テールを前へ押す動き」と「身体をかかと側へ移す動き」が同時に成立します。ここではその仕組みを詳しく説明します。
かかと側への重心移動が身体の軌道に与える影響
かかと側へ重心を置いた状態で真上にジャンプすると仮定します。
重心と作用点(後ろ足)がずれているため、意図的に後ろへ引かずとも、身体は自然にかかと側へ移動します。
かかと側への重心移動が板の軌道に与える影響
同じ重心のずれによって、テールは前方向へ押し出されます。
前方への押し出しは、かかと側に重心を置いたままテールをまっすぐ下へポップした結果として自然に発生する動きです。
足の配置
後ろ足はかかと側、前足はつま先側へ
先ほど述べたように、リアトラックのかかと側ウィールが回転の支点として機能します。
この支点をより効果的に働かせるためには、後ろ足をかかと側のテールの根元に近い位置へ置くことが重要です。
後ろ足をかかと側に置く場合、前足をつま先を出すように配置すると、全体の重心をデッキ上に安定させやすくなります。
練習方法
動きながら練習することを推奨します。 静止状態よりもすねをぶつけにくく、安全性が高まります。
ゆっくりと進みながら、先ほどの足の配置を整え、重心を7時方向へ寄せ、そのままテールを弾きます。
始めの段階では、無理に着地する必要はありません。まずは綺麗なスピンを生み出すことに集中します。
板をどれほど回すべきかを理解するために、回転動作そのものを繰り返し練習してください。
重要なのは、重心を必ず7時方向へ置くことです。後ろ足寄り、あるいはさらにかかと側寄りなど、ご自身に合う位置を微調整しながら探ってみてください。
肩の使い方
ここでは、もう一つ重要な要素である「肩」について解説します。
フロントサイド・ポップショービットでは、フロントサイド180のように肩を大きく振る必要はありません。
フロントサイド180では肩の回転がそのままターンに直結します。
一方でフロントサイド・ポップショービットにおいて板が回転する理由は、重心と力を加える点のずれによるものであり、肩の回転ではありません。
そのため肩を振り回す必要はなく、むしろバランスを崩す原因となります。
肩は本当にデッキと平行である必要があるのか
肩の向きは常にデッキと平行であるべきと言われることがありますが、私は必ずしもそうとは考えておりません。
テイクオフ時に肩を開くことで少量の回転が加わることはありますが、空中で肩の角度を固定しても回転量は増えません。
肩の向きはあなたが安定してポップできる角度で問題ないので、ジャンプ中にその角度を変えないことを心がけてください。
