概要
摩擦と重力の拮抗が鍵となる
スライド中は地面との摩擦が発生します。同時に、後方へ体を傾けることで体には下向きの加速度が発生します。長く安定したパワースライドを成立させるには、これら相反する力の最適な均衡点を見つけることが重要です。
しゃがんでから立ち上がる動きで荷重を抜く
体重が完全に乗った状態では、板の向きを細かく調整することは困難です。いったんしゃがみ、そこから上体を引き上げます。この動作によって一時的にデッキへの荷重が軽くなり、ウィールと路面の摩擦が減少します。
前足側に荷重を移し、板を元の進行方向へ戻す
両足が均等に荷重をかけている間、デッキは90度の状態を維持します。前足側へ重心を移すことで、板は元の進行方向へ向かうよう誘導されます。
シミュレーション
アイコンをクリックすると3Dシミュレーションが起動します。
パワースライドの原理
パワースライドに共通する基本原理
パワースライドにはさまざまなバリエーションが存在します。
これらは見た目も感覚も大きく異なりますが、根底にある仕組みは共通しています。
物理的な仕組み
理解すべき二つの主要要因
- デッキと地面の間に生じる摩擦。これはデッキの速度を弱める方向に働きます。
- 身体が下降することで生まれる下向きの加速度。これはデッキを前方へ押し出します。
安定したパワースライドは、これら二つの力の均衡が正しく取れているときに成立します。
なぜパワースライドは失敗するのか
失敗の大半は、先述の二つの力の釣り合いが崩れることによって起こります。
言い換えれば、摩擦が過剰であればデッキが急停止し、下向きの加速度が強すぎればデッキが身体の下から前方へ逃げてしまうということです。
スライド姿勢への入り方
なぜ板を前に振り出すことが難しいのか
パワースライドの難所の一つは、正しいスライド姿勢への入り方です。動きながらデッキを90度まで回し切れない、と感じる方も多いはずです。
理由は明確で、全体重がデッキに強く乗っている状態では、板を動かすことが極めて困難になるためです。
板を振り出す前に、いったん荷重を抜く
デッキを有効に回転させるには、まずしゃがみ、そこから上体を引き上げてから動作を開始します。
この動きによって、一時的にウィールへの荷重が軽くなり、摩擦が減少するため、デッキをより自由に振り出せるようになります。
後方へ荷重を移し、スライドを安定させる
同時に、後ろ側へ重心を移し始めます。どの程度後ろに移動させるかは路面の摩擦によって異なるため経験と練習が必要です。
スライドの維持と抜け方
スライド中は後方荷重を保つ
スライドを長く維持するには、デッキより後方に重心を置くことが重要です。
さらに、デッキの角度を一定に保つためには両足が均等に荷重をかけ続ける必要があります。
パワースライドの抜け方
スライドの終盤に近づいたら、後ろ足の荷重を徐々に抜いていきます。前足とデッキには、まだ前方向の運動エネルギーが残っています。
後ろ足の荷重が解放されると、デッキは自然と元の進行方向へ向き直ります。
