360ポップショービットの秘密を科学的に解説

Last updated: 2025/11/18

デッキを360度回転させる動作は一見すると単純に思えますが、実際には極めて高度な技術を要します。本記事では、 なぜ360ポップショービットでデッキがフリップしやすいのか そして その問題を科学的なアプローチで防ぐ方法 を検証します。

概要

なぜデッキはフリップするのか

デッキがフリップするのは、ブッシュゴムが片側へ強く圧縮された後に反発するためです。 静止したデッキであれば、この反発力のみでフリップが起こることはありません。しかし、 その反発がデッキ全体が上昇する力と同時に発生すると わずかな力でもフリップを引き起こす十分な要因となります。

フリップを防ぐ方法

後ろ足をテールの中央寄りに置き、「1時」の方向へ押し出すように動かします。 そうすることでリアトラックを圧縮する動作を防ぎ、デッキに必要な下方向のエネルギーが確実に伝わり、安定したポップにつながります。

シミュレーション

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問題の分解

デッキはどちらの方向にフリップすることが多いのでしょうか。詳細に観察すると、 キックフリップ方向にフリップしている ことが分かります。

原因の分析

この問題は何によって生じるのか

多くの方は、前足がキックフリップのような回転を生んでいると考えるかもしれません。しかし動きを精密に観察すると、 前足が実際にフリックを加えることのできる位置に到達するよりも早く、すでにデッキから離れている ことが分かります。

前足が原因ではないことの確認

これを検証するため、キックフリップに必要な構造をあえて取り除いた特別なデッキを用いて実験を行いました。 その結果、この改造デッキでも同じようにフリップが発生しました。

この観察から、 前足はフリップの直接的な原因ではない と判断できます。

実のところ、360ポップショービットでデッキをフリップさせる力は、トレフリップをフリップさせる力と同一です。 それは、テールとリアブッシュゴムが生み出す反発です。

以前にも解説したように、トレフリップではテールをしゃくった際、 後ろのブッシュゴムが中立位置へ戻ろうとして反発し、デッキを持ち上げてフリップさせる 力が働きます。

ブッシュゴムの反発は本当に強いのか?

初めてこの仮説を述べた際、「リアトラックの反発だけではデッキをフリップさせるほど強くないはずだ」と指摘されたことがあります。 立ち止まった状態でテールを押し込んでもデッキがフリップしない、というのがその理由でした。

フリップが生じる科学的理由

この指摘自体は正しいものの、重要な概念が欠けています。

テールを弾いた瞬間、ノーズには上方向の運動量が与えられ、デッキ全体が持ち上がります。 そのタイミングでブッシュゴムが反発します。この反発はリアトラックの片側を持ち上げ、 デッキ全体の上方向への運動と 組み合わさることで フリップが発生します。 360ポップショービットでは、このメカニズムが働かないよう制御することが課題となります。

問題を回避する方法

スタンス

私は前足をデッキ中央付近、キックフリップのスタンスに近い位置へ置きます。

先に述べた通り、前足はフリップの直接的な要因ではありません。そのため、ご自身が安定すると感じられる位置に置いて構いません。

一方で、後ろ足は極めて重要です。私は後ろ足を テールの中央、もしくはややヒール側に寄せて 置いています。

テールを送る方向

足の準備が整ったら、上方向へ伸び上がりながら、テールを斜め前方へ送り出します。 レギュラースタンスの場合はおおよそ「1時」方向 となります。

フリップを防ぐためには、リアトラックが押しつぶされることを避け、テールが最後に地面へ触れる状態をつくる必要があります。 後ろ足をテール中央付近に置いたうえで1時方向にすくう動作は、この条件を自然に満たしてくれます。

トレフリップのスタンスで後ろ足を置く場合の欠点1

トレフリップのように、つま先を外へ出しヒール側へ強く引くスタンスを使用すると、つま先によってテールが押され、 デッキが後方へ引きずられます。この動作は意図せずリアトラックを圧縮し、板がフリップする確率を高めてしまいます。

トレフリップのスタンスで後ろ足を置く場合の欠点2

さらに、重心から遠い場所でテールを弾くことになるため、加えた力の多くが水平方向へ逃げてしまいます。 その結果、地面から十分な反発力を受け取れず、高さを得ることが難しくなります。

テールを1時方向へ送る利点

テールを1時方向へ送ることで、 テールが地面に向かって真っすぐ沈む 形になります。 これにより、デッキが地面にしっかりぶつかり、空中へ跳ね上がるための十分な反発力を得ることができます。

また、テールが最後に地面へ触れるため、リアブッシュゴムが反発してフリップを生む余地がなくなります。

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