物越えオーリーの科学:スピード・視線・重心・前足の使い方を徹底解析

Last updated: 2025/03/05

止まった状態でオーリーはできるし、動いているときもそれなりにできる。しかし、何かを飛び越えようとした途端に何かがおかしくなり、急にできなくなる。 これはなぜなのでしょうか? 科学的に分解して考えてみましょう。

この動画では、障害物を越えるオーリーの重要なポイントである「スピード」「視線」「重心」「前足の使い方」について解説します。

概要

障害物をオーリーで越えるために必要なスピードは?

障害物を成功してオーリーで越えるために必要なスピードを計算しました。ホイールベースが45 cmでオーリーの高さが15 cmの場合、空中にいる時間は約0.35秒です。この距離をクリアするためには、約1.29 m/sの速度が必要で、これはスケートボードのデッキ約1.5枚分の長さを1秒で進む速さに相当します。

視線がオーリーのタイミングに与える影響

視線はオーリーのタイミングに大きな影響を与えます。障害物を弾く直前まで注視し、必要に応じて視線を移しましょう。早く弾きすぎると、必要なジャンプ距離が1.5倍になります。認識力を向上させるために、前輪の位置を軽く障害物に当てながら学ぶのも有効です。

重心がオーリーに与える影響

障害物に向かって前傾することで、自然と体軸が変化し、ポップに影響を与えます。前傾が強すぎるとエネルギーが後方に分散し、上方向の力が弱まります。さらに、スケートボードの動きによって後ろ足の位置がずれる可能性もあります。ポップの効率を最大化するためには、重力に対抗するように真上に力を加えることが重要です。

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スピード - 障害物をオーリーで越えるにはどれくらいの速さが必要?

まず、静止状態でのオーリーと動いている状態でのオーリーの最も明確な違いを考えてみましょう。それは、スピードです。障害物を越えるために正確にどれくらいの速さが必要なのかを理解するために、地面に引かれたラインを飛び越えると仮定して、簡単な計算をしてみましょう。

成功するオーリーの最小距離

ラインに対してまっすぐ進んでいると想像してください。オーリーの移動距離は、フロントウィールがラインに触れる直前に弾き、リアウィールがラインのすぐ向こう側に着地することで最短になります。この距離は実質的にホイールベースの長さと等しいため、私の場合は45 cmです。
(※リアウィールが地面に接している間のボードの移動距離は考慮していません。)

高さ15 cmのオーリーの空中時間

オーリーの高さが15 cmだと仮定すると、空中にいる時間は、15 cmの高さまで自由落下して再び戻るのと同じ時間になります。私の計算によると、これは約0.35秒です。

必要なスピードの計算

スピードは「距離 ÷ 時間」で求められるため、45 cm ÷ 0.35秒は約1.29 m/sとなります。

スケートボードのデッキ長との比較

では、この速さはどの程度なのでしょうか?スケートボードのデッキの長さは約80 cmです。つまり、1.29 m/sで進むということは、おおよそ1.5デッキ/秒の速度で転がるのと同じです。

スピードの3Dシミュレーション

そして、これが3Dモデルを使ってシミュレーションした映像です。意外と遅く感じませんか?

オーリーを高くするほど、どれくらいの速さが必要?

30cmのオーリーに必要なスピード

空中にいる時間は0.495秒で、0.91 m/sの速度で進めばラインを越えることができます。

オーリーが高いほど、スピードは遅くなる

オーリーの高さが60 cmになると、空中にいる時間は約0.7秒となり、必要な速度は0.64 m/sとなります。これはデッキの長さよりも短い距離です。つまり、オーリーが高くなるほど、スピードを遅くしても障害物を越えられるということです。

視線の使い方

次に、必要なスピードが分かったところで、どのように実践するかを見ていきましょう。最初のポイントは「視線」です。これはトリックのタイミングに大きく影響を与えます。

弾く前はどこを見るべきか

障害物のすぐ手前まで視線を固定します。そして、前足を擦り上げるタイミングで、必要に応じてノーズや前足に視線を移しましょう。

早く弾きすぎない

障害物に近づくと、ノーズが視界を遮り、障害物がノーズの向こう側に隠れます。しかし、障害物がまだ見えているうちに焦って弾かないようにしましょう。

スケートボードに乗った状態での死角

例えば、身長170 cmの人がスケートボードに立っている場合、通常、視界に入る最も近い地面から前輪までの間に約20 cmの死角が生じます。

早く弾くことのリスク

本来、オーリーに必要な距離は45 cmですが、早く弾きすぎるとさらに20 cm余分にジャンプする必要があり、元の距離の1.5倍も飛ばなければならず、無駄に難易度が上がってしまいます。

認識力を向上させる方法

この問題を解決するには、前輪の位置を把握することが重要です。障害物をオーリーする前に、前輪を軽く当てることで、視線で確認しなくても位置を正確に把握できるようになります。

重心の影響

障害物に向かって前傾する

視線の方向に体を傾けるのは自然な動作であり、この場合は障害物に向かって体軸が前傾しやすくなります。

前傾がポップに与える影響

体軸が前に傾くほど、ポップのエネルギーが後方に分散してしまいます。さらに、スケートボードは前後に動く性質があるため、テールが地面に着くまでに後ろ足の位置が進行方向とは逆方向へさらにズレてしまいます。この状態でポップすると、効率的な上方向の力を生み出せなくなります

理想的なポップの方向

重力は体を真下に引っ張るため、ポップの力はその反対方向、つまり垂直に上方向へ加える必要があります。

前足の使い方

前足を早く押し出しすぎない

よくある間違いとして、空中に浮いた瞬間に障害物を越えようとして、前足を押し出すことがあります。しかし、これをするとボードが重心の真下から外れてしまい着地ができなくなる原因になります。

ボードをコントロールする

そのため、ポップした後すぐに前足を障害物の方向へ押し出すのではなく、まずは重心に近づけるようにし、常にボードを重心の真下に保つように意識しましょう。また、オーリーの形が「ロケット気味」になっても心配する必要はありません。ボードを水平にする感覚は後から慣れていけば大丈夫です。

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