すり減ったテールの影響を数学的に計算:ポップにどのくらい影響があるのか

Last updated: 2025/08/26

同じデッキに乗り続けていると、テールは徐々に削れていき、やがて「レーザーテール」と呼ばれる状態に達します。多くの人が、この状態になるとトリックの感覚が変わるのを感じたことがあるはずです。では、実際に何が起きているのでしょうか?

まとめ

影響を決めるのは角度ではなく「反発力」

確かにテールの角度は変化しますが、この小さな差だけではトリックの感覚が変わる理由にはなりません。本当の原因は「反発力」であり、それは厚みの3乗に比例して減少します。テールが薄くなるほど反発力は急激に落ち、デッキの反応が鈍くなっていくのです。

ポップの弱体化と回転力の減少が操作性を奪う

レーザーテールは力を伝える代わりに吸収してしまいます。テールが地面に当たったとき、反発力は新品の約4分の1に低下します。その結果、ポップは弱まり、回転エネルギーも減り、前足のグリップも弱くなるため、トリックが重く不安定に感じられるのです。

デッキの角度

新品の板、使い込んだ板、そして強く削れたレーザーテールの板を比較してみましょう。地面に置くと、摩耗したテールは角度が急になっているのが分かります。一見すると大きな違いのように見えますが、実際に計測すると角度の差はそれぞれ約1.5°程度。果たしてこの差を滑りながら感じ取れるでしょうか?おそらく難しいでしょう。

反発力

スケートボードも他の素材と同じく、反発力は厚みの3乗に比例します。つまり板の層が減った分だけ直線的に弱まるのではなく、加速度的に低下していくのです。

例えば8枚プライのデッキが摩耗してレーザーテールになったとしましょう。テールの先端は薄くなるため、平均して5枚分の厚みと仮定します。この場合、新品デッキを100%とすると反発力はおよそ24%まで低下します。

オーリーへの影響

まず、後ろ足でテールを弾いたとき、レーザーテールは通常よりも大きくしなります。さらに木材の繊維も弱っているため、エネルギーの多くが吸収されてしまい、板全体へ伝わらなくなるのです。

テールが地面に当たったとき、反発力は本来の約4分の1まで落ち込みます。その結果、ポップの力が明らかに弱まります。

そして影響は垂直方向の跳ね上がりだけではありません。板の回転エネルギーも減少するため、前足に吸い付く感覚が弱まります。前足を擦り上げようとしても、板がついてこないのです。

通常であれば、ノーズを前足で押さえる動きと板自体が持ち上がる動きとの速度差によってテールが上がります。しかし、板の持ち上がるエネルギーが弱まると、いくら前足で工夫してもテールは上がらなくなります。

対策

残念ながらレーザーテールは避けられません。スケートすればするほどテールは削れていきます。ただし、その進行を遅らせることは可能です。テールをブレーキとして使うのは避けましょう。地面に擦る代わりに、後ろ足でスピードを殺すか、パワースライドを使って減速するのが効果的です。

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