スケートボードの構成パーツ

Last updated: 2025/11/17

スケートボードは複数の素材とパーツから成り立っています。それぞれの特性を理解することは、効率的にトリックを習得し、自分に合った道具を選ぶ上で欠かせません。

概要

主な構成要素は3つ

スケートボードはデッキトラックウィールという3つの主要パーツで構成されています。これらはボルトとナットで固定されており、ブッシュゴムベアリングなどの小さな部品も全体のフィーリングに大きな影響を与えます。

最終的には自分の好みによる

一般的には、デッキが狭くトラックが軽い方がフリップトリックを出しやすく、広いデッキはトランジションや大きな障害物で安定しやすいと言われています。しかし、最も重要なのは自分のスタイルや体の動きに合ったセッティングを見つけることです。 たとえば、筆者を含む一部のスケーターは柔らかく反応の良いブッシングを好みます。これにより、トレフリップのようなトリックがコントロールしやすくなります。詳しくはこちらをご覧ください。

定期的なメンテナンスが重要

スケートボードのパーツは非常に耐久性がありますが、永久に使えるわけではありません。動きが不安定になったり、以前とフィーリングが変わったと感じたら、パーツの交換時期かもしれません。

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デッキ

概要

デッキはスケーターが立つための基盤であり、他のすべてのパーツが取り付けられる土台となります。デッキにはさまざまなサイズや形状がありますが、多くはテールノーズの両端にキックがあり、さらにサイドにはコンケーブ(湾曲)が施されており、コントロール性を高めています。

サイズ

ほとんどのスケートボードデッキは非対称で、ノーズ(前方)がテール(後方)よりわずかに大きく作られています。通常のストリート用のデッキならデッキの長さはおおむね30インチ前後で共通していますが、幅は7.5〜10インチほどと大きく異なり、この幅がデッキのフィーリングに大きく影響します。狭いデッキは反応が速く、フリップ系の回転も軽くなりますが、安定性はやや低くなります。

一方で、広いデッキは安定性が高い反面、重量と慣性が増すためフリップしにくくなります。しかし、だからといって狭いデッキの方がフリップに適しているとは限りません。多くの「テクニカル系」スケーターは8〜9インチ程度のやや広めのデッキを好みます。最終的には個人の感覚に依るため、さまざまなサイズを試して自分に合ったものを見つけるのが良いでしょう。

素材

標準的なデッキの多くは、7〜8層のメープル(楓:かえで)の板を接着剤で積層し、上記のような形状にプレスして作られています。中には層の間にカーボンファイバーのディスクやプレートを組み込むことで、耐久性や反応性を高めたモデルもあります。

どのデッキを選ぶべきか

市場には数えきれないほど多くのスケートボードデッキがあります。初心者のうちは、それぞれの細かな違いが滑りに大きく影響することは少ないでしょう。グラフィックのデザインやアーティスト、憧れのスケーター、またはブランドで選ぶのも十分に理にかなった選び方です。

グリップテープ

粗いサンドペーパーのようなグリップテープをデッキの上面に貼り付けることで、足が滑らないようにします。グリップテープにはブランドや粗さの異なる種類があり、強いグリップ力を求めてザラつきの強いものを選ぶスケーターもいれば、繊細な足の動きを重視してコントロール性の高い滑らかなタイプを好む人もいます。

トラック

概要

トラックはスケートボードの中で最も構造が複雑で、全体の乗り心地に大きな影響を与えるパーツです。「デッキは変えてもトラックは変えられない」というスケーターもいるほど、感覚に直結する重要な要素です。トラックはデッキとウィールをつなぎ、体重を支え、曲がり方の特性を決定づけるとともに、ライディング全体の質を左右します。

素材

多くのスケートボードトラックはスチールや強度の高い金属合金で作られており、非常に頑丈です。基本的には長期間の使用にも耐え、頻繁な交換や修理は不要です。トラックはアクスルキングピンハンガーブッシュゴムベースプレートなど複数のパーツで構成されています。モデルによっては、グラインド時の摩擦を軽減するため、ベースプレートに樹脂製のスライドプレートを備えたものもあります。

ハンガー

ハンガーとアクスルはトラック全体の幅を決定します。狭すぎると不安定になり、逆に広すぎるとスピンやフリップが重く感じられます。理想的なのは、デッキの幅とほぼ同じか、わずかに狭いトラックです。中にはデッキの端から少しはみ出すタイプを好むスケーターもいます。

また、ハンガーの素材はグラインド性能にも影響します。チタンなどの硬い金属を採用するブランドもあり、より軽く、長く、スムーズなグラインドを可能にします。ただし、こうした素材は割れやすく耐久性に影響があったり、高価格化を伴うことがあります。

ベースプレート

ベースプレートはキングピンとハンガーが取り付けられる金属製の土台で、4本のボルトでデッキに固定されます。トラック全体の構造を支える基礎部分です。

キングピン

キングピンはベースプレートとハンガーを接続し、トラックが首を振る(ピボットする)動きを可能にする太いボルトです。軽量化のため、中空構造のキングピンを採用したモデルもあります。

ハンガーとアクスル

ハンガーは内部にアクスルを備えています。ウィールを支えるだけでなく、グラインドトリックの際に直接障害物と接触する部分でもあります。標準的には鋼鉄製ですが、チタンや合金を採用して軽量化・耐久性向上・グラインドの滑りやすさを追求したモデルもあります。ハンガーが「筋肉」だとすれば、アクスルは「骨」であり、両側のウィールをつなぎ、キングピンとナットで固定されています。 中空アクスルを使用してさらに軽量化を図るタイプもあります。

ブッシュゴム

ブッシュゴムはウレタン製の小さなパーツで、ハンガーとベースプレートの間に配置され、トラックがスムーズに首を振り、元の位置に戻る動きを支えます。1つのトラックに2個ずつ使用され、スケートボードの曲がりやすさ(ステアリング特性)を大きく左右します。キングピンナットの締め具合によってフィーリングを調整することが可能です。

ブッシュゴムの硬さはライダーの好みに応じて選ばれます。ストリートスケーターは安定性を重視して硬めを好む傾向があり、トランジションスケーターは柔らかめで曲がりやすいものを選ぶことが多いです。ブランドによっては、複数の素材を組み合わせたハイブリッド構造のブッシングもあります。

アクスルナット

アクスルナットはウィールを固定するためのナットで、スケートボード1台につき合計4つ使用します。六角形の形状をしており、一般的にサイズは約5/16インチです。

ウィール

グリップ・スライド・転がりを一体化した構造

現代のスケートボード用ウィールはウレタン素材で作られており、1台につき4個使用します。直径はおおむね50〜70mm、硬度は78A〜100A以上の範囲でさまざまです。

  • 大きなウィールはスピードを出しやすく、荒れた路面でも振動を吸収しやすい反面、ウィールバイト(デッキと接触して止まる現象)が起きやすくなります。
  • 柔らかいウィールは衝撃吸収性に優れていますが、硬いウィールに比べて転がりが遅くなります。
  • 小さなウィールは軽量で、フリップ系のトリックに適していますが、スピードが落ち、クッション性も低下します。
  • 硬いウィールは転がりが速い一方で、衝撃吸収が少なく、グリップが足りないとスライドしやすい傾向があります。

ライザーパッド

デッキの高さを上げるパーツ

ライザーパッドはプラスチックやゴムで作られ、デッキとウィールの間隔を広げてウィールバイトを防ぐ役割を果たします。デッキを高くすることで、ターンや着地時にウィールがデッキに当たるリスクを減らすことができます。また、衝撃を和らげ、振動を吸収して滑りをスムーズにする効果もあります。

ただし、デッキの高さを上げることにはデメリットもあります。高さが増すとテールを弾くのに必要な力が大きくなり、重心が高くなることで着地時の安定性がわずかに低下する場合もあります。

ボルトとナット

全てのパーツを固定する要

各トラックは4本のボルトでデッキに固定されるため、スケートボード1台には合計で8本のボルトが必要です。最も一般的なのはプラス型ボルトですが、六角レンチで締めるヘックスボルトが使われることもあります。特に、デッキの前後を見分けやすくするために使用されることがあります。

ワッシャー

小さくても重要な役割

ワッシャーはベアリングとハンガーの間に配置され、ウィールがスムーズに回転するように支えます。圧力を均等に分散させることで、ベアリングの寿命を延ばす役割も果たしています。

ベアリング

スピードの中枢

ベアリングはスチール製のリング小さなスチールボール、そしてそれらを保持するリテーナー(プラスチックまたはウレタン製)で構成されています。1台のスケートボードには合計8個(1つのウィールに2個)が必要です。ベアリングはアクスルとウィールの摩擦を軽減し、効率的な回転を実現します。

高級モデルとしてセラミックベアリングも存在します。価格は高めですが、耐久性と耐熱性に優れ、細かい砂塵を砕いてもセラミックボールやスチールリングを傷つけにくく、高速走行を長時間維持できます。ベアリングの精度はABEC(Annular Bearing Engineers’ Committee)規格によって評価され、一般的には3〜7の範囲で表されます。

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