レッジのボードスライドを科学的に解説

Last updated: 2025/10/20

レールなら仕組みは分かりやすいですよね。デッキだけがレールに触れて、常に水平を保ちながらスライドするからです。でも今回の場合、前のウィールがレッジに接触していて、板が傾いているのに、どうやってスライドを維持できるのでしょうか?実は、ほんの小さなオーリーで比較的高い段差に乗り上げ、安定してスライドできる方法があるのです。その仕組みを解き明かしていきましょう。

まとめ

オーリーしない。板を押し付けて乗せる

高くオーリーして板をレッジに置くわけではありません。テールを軽く弾いて、板をレッジに押し付けるようにすることで、スライドできる位置に板を押し込むことができます

しっかり押し込む

浅いロックインでもスライド自体はできますが、長く滑りたい場合はできるだけ深く押し込む方が安定します。これによってフロントウィールとレッジの摩擦を減らすことができます。

押し込みの深さはレッジの滑りやすさで調整する

板のかかと~つま先方向の位置は、レッジの特性によって調整が必要です。例えば、滑りにくいストリートの粗いレッジでは、少し遠くに板を置く必要があります。

レッジに板が乗り上がる仕組み

よくある誤解として、レッジより高くオーリーして上から着地するという考え方です。実際には、テールをごく軽く弾きつつノーズを持ち上げ、そのまま障害物へ乗り入れていきます。体は前方(障害物側)へ進み続けるので、板はレッジにどんどん押し込まれ、スライドできる姿勢が出来上がります。

この動きを見てください。最初にレッジへ触れてから、板が段階的に押し込まれていくのが分かります。

高くオーリーしてレッジに「着地」すると、板やウィールとレッジ面との摩擦が大きくなり、スライドできなくなります。

どこまで押し込むべきか

実際には、さまざまな位置でスライドは可能です。ただ、より長くスライドしたいなら、できるだけ奥まで押し込む方が効果的です。鍵になるのは、重心位置と摩擦の関係です。

スライド中、重心はレッジの角の上にあります。そこで、板の位置だけが変わると摩擦がどう変化するかを想像してみましょう。板を置く場所が浅いほど、フロントウィールが重心に近づきます。その結果、体重がウィールへ直に乗り、摩擦が増えます。

浅い位置でもスライド自体は可能です。しかし、前のウィールとレッジの摩擦を減らすには、重心をもっと外側へ移して、より多くの荷重を板側に配分する必要があります。とはいえ、重心がレッジの線と揃わず、板も傾いているため、その状態で長距離を維持するのは難しくなります。

一方、板を深くかけると前のウィールへの圧が下がり、より多くの荷重を板へ配分できます。板はウィールよりも抵抗が小さいため、スライドしやすくなります。重心をレッジ直上に保ちつつ板が水平に近づくので、より長く安定したスライドが可能です。

上からオーリーで乗るのではなく「押し込む」ことには、もう一つの利点があります。板が徐々に押し込まれる過程で、後ろのウィールがレッジの角より下に残るため、どれだけ押し込んでも、横に押し込みすぎる前にリアトラックがレッジに当たり、行き過ぎを防いでくれます。

ステップごとの動き解析

レッジには、ほぼ平行、もしくはわずかに角度をつけてアプローチします。

近づいたら肩を開き、テールを軽く弾いてノーズを持ち上げます。

このとき、体はレッジ方向へ進んでいます。何もせずそのまま乗り上げると、重心が前のトラックの上に移動し、前のウィールとレッジの間に摩擦が生じてスライドが止まってしまいます。スライドさせるためには、体の向きをレッジと平行に導く必要があります。重心をわずかに内側へ寄せることで、この姿勢を作りやすくなります。

板をレッジへ押し込むと、体重は反対方向へさらに移動し、正しいスライド姿勢を作ることができます。板をかける位置は、レッジの滑りやすさによって調整が必要です。今回使用したレッジはSkatelite製で非常によく滑りました。自分が滑るレッジの状態に合わせて、どの程度まで板を押し込むかを調整しましょう。ワックスをしっかり塗るのも忘れずに。

練習方法

最初から深くかけるのは難しいです。まずはノーズを上げながら乗り上げる動作を練習し、徐々に板をかける深さを調整していきましょう。

板をかける動作に慣れてきたら、実際にスライドを試してみましょう。最初は、レッジの端を狙い、板をおよそ45度ほど回すようにしてみてください。すると、前のウィールがレッジに当たる前の一瞬、板がスライドするのが分かります。その直後に前のウィールはレッジを越えて地面に向かうため、ウィールの摩擦に邪魔されず、スライドの感覚を掴むことができます。

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