結論
「しゃくり」とは本質的に「垂直軸(Z軸)まわりの回転」のこと
この動きを「後ろ足を振る」と捉えるのではなく、デッキの垂直軸を中心に後ろ足を内側へひねる意識を持つことが大切です。
「しゃくり」は、360ポップショービットの回転とキックフリップの回転を同時に生み出す
足首を内側にひねる動きによって、前足でなにかを意識的に行わなくてもショービットとフリップの両方の要素が生まれます。これらの現象が生じる客観的な理由については、後続のセクションで詳しく説明します。
シミュレーション
トリックの流れ
最初から一連の動作の流れを簡潔にみてみましょう。
1. アプローチしながらしゃがみ込む
この時点でデッキがややかかと側に傾くことがありますが、これは足の位置や重心の分布による自然な現象であり、心配する必要はありません。
2. 身体を持ち上げ始める
準備ができたら、身体を持ち上げる動作を開始します。この時、まだ「しゃくり」動作を始めてはいけません。体重が足を押し下げている間は、足を自由に動かすことはできないのです。しっかり身体が持ち上がるまで待ちましょう。
3. 「しゃくり」動作を開始する
身体が十分に持ち上がったら、いよいよ「しゃくり」動作を始めます。この段階では足が自由に動くため、リアトラックにエネルギーを蓄えるための内側へのひねり動作が可能となります。
前提
まとめ
まずは、過去のコンテンツで紹介した重要なポイントを振り返ります。
- トレフリップにおいて、前足はキックフリップのように板をフリックしません。実際、前足が通常フリックする位置に到達した時点で、すでにデッキから離れています。
- トレフリップは、主に反発力を利用したトリックです。リアトラックにエネルギーを蓄え、それを解放することでデッキが回転します。
- このリバウンドを発生させるためには、リアトラックにしっかりとエネルギーを溜めるように後ろ足を使う必要があります。
- 前足はデッキをフリックする役割はありません。主な役割は、後ろ足がテールにエネルギーを溜める間、デッキを地面に保つことです。
要するに、トレフリップの本質は、後ろ足の適切な「しゃくり」動作によって反発力を生み出すことにあります。
分析
なぜZ軸まわりの回転が重要なのか?
目標は、リアトラックにエネルギーを蓄えることです。トラックのハンガーがグッと曲げられ、元に戻ろうとする力が生じていることが重要です。
一般的に「しゃくり」動作の際、重心はデッキよりもつま先方向に位置しています。この状態でテールに力を加えると、自然とデッキはつま先側へ回転し始めます。
単に後ろ足を蹴り下げるとどうなるか
Z軸の回転を意識しないと、単にテールを下げてデッキを回転させているだけになり、リアトラックに力が溜まっていない状態になります。すると、リアトラックのハンガーが元に戻ろうとするためのエネルギーが十分に蓄積されず、板がうまく回転してくれません。
つまり、後ろ足をかかと側へ大きく振るだけでは、どれだけ強く蹴ってもデッキが回転しないのです。
では、どうすればよいのか?
後ろ足を振るのではなく、Z軸まわりの回転を意識することが重要です。
後ろ足のつま先を内側にひねることで、リアトラックのハンガーを曲げながら同時にバックサイド方向への回転を発生させます。この動作が正しくできると、その後のフリップは驚くほど自動的に進行します。
補足
単なる感覚的な「自動」ではなく、物理的にも自動化される現象です。
十分なエネルギーが蓄積されて放出されることで、この一連の動作がリバウンドによる自動的なプロセスに変わるためです。
