キックフリップがバックサイド方向に回転してしまう理由

Last updated: 2025/11/17

なぜデッキ`が回転してしまうのでしょうか?

原因は足の置き方でも肩の向きでもありません

もし次のようなお悩みをお持ちであれば、本記事はまさに適切な内容です。
「なぜ自分のデッキは背中側に回転してしまうのか? 後ろ足をしゃくってはいないし、 ちゃんとポップしている。後ろ足を端っこに置かない方がいいとか、肩を開かない方がいいとは聞くものの、 本当にそれが原因なのか? そして、そうだとしたら なぜなのか?」

なぜ回転するのか?

足の置き方がデッキを回転させるわけではありません。

物理的に考えると、たとえ後ろ足をテールの端に置いてそのままポップしたとしても、 デッキは回転することなくまっすぐ上方へ跳ね上がります。

肩は開いても問題ありません。

肩を開いたとしても、それ自体ではデッキを回転させるような 水平方向の力は発生しません。 実際、多くのプロスケーターはキックフリップの際に自然と肩が開いています。

つま先側に傾かないよう注意してください。

後ろ足をテールの端に置いたり、肩を開いたりすることで、 意図せず体がつま先側へ傾く場合があります。

よくある疑問

足の置き方が原因なのでしょうか?

多くの方が、意図せずデッキが背中側へ回転してしまい、 いわばバリアルフリップのような動きになって困っています。 私自身も同じ経験があり、最初は足の置き方が原因だと考えていました。

しかし、以下の点には確証がありました。

  • 後ろ足をしゃくってはいないこと。
  • 後ろ足はまっすぐ下に向けてポップしていること。
  • ポップの感覚は通常のオーリーと同じであること。

では、なぜデッキは回転するのでしょうか?

YouTube の解説動画はほぼすべて確認しましたが、納得のいく説明はなかなか見つかりませんでした。 多くが次のように述べるのみでした。

  • 後ろ足をテールの端に置かない方がよい。
  • 肩を開かない方がよい。

これらが誤りというわけではありませんが、どこか大事な視点が欠けていると感じました。

では、デッキが回転する本当の要因とは何でしょうか?

肩をデッキと平行に保つことが重要だと言われる一方で、 ルアン・オリベイラは肩をほぼ九十度開いた状態でキックフリップを行えます。

また、マイク・モのように後ろ足を反対側のテールの端に置くことを推奨する例もありますが、 それでも必ずしもハードフリップになるわけではありません。なぜなのでしょうか?

症状

意図せずバリアルフリップのようになるタイプ

このケースでは、フリック直後にデッキが回転し始めます。その結果、実際には狙っていないにもかかわらず、動きがバリアルフリップのようになります。

意図せずバックサイドフリップのようになるタイプ

この場合、デッキをキャッチした後に体が回転してしまいます。フリップ自体は正しく見えますが、着地の際に足がバックサイド方向に回転するため、結果的にバックサイドフリップのような見た目になります。

検証

原因は本当に足の位置なのか?

多くのチュートリアルでは、キックフリップの際に後ろ足をテールの端に置くべきではないとされています。テールの端に置くとデッキがバックサイド方向に回転してしまうというのがその理由です。

これを3Dモデルで検証してみましょう。

  • スケートボードの重量は5kg、長さは30インチ、幅は8インチ。
  • ボールの重量は5kg、直径は10cm。
  • 緑の線はボールの軌道を示しています。

ボールをテールのテールの端に真下方向へ落とすと、デッキは明らかに真上に跳ね上がり、真下に戻ります

これは、テールの最外端が地面を離れる直前に最後の接点となるためです。つまり、力を垂直に加える限り、テールの中央で弾いてもテールの端で弾いても、デッキの進行方向に大きな差は生じません。

あくまで私見ですが、後ろ足をテールの中央に無理に置く必要はないと考えています。重要なのは、安定して力を加えられる位置に足を置くことです。テールの端を弾いても、垂直に力をかけていれば不要な回転は発生しません。

補足

テールの端を弾いても、力が垂直に加えられている限りデッキは真上に跳ね上がります。ただし、わずかでも水平方向の力が混ざると、すぐにバックサイド方向への回転が始まります。

肩を開くのは避けるべきか?

結論から言えば、肩を開いた状態でもキックフリップは可能です(推奨はしませんが)。その前に、なぜ肩が開きやすいのかを理解しておくことが重要です。

キックフリップでは、前足のかかとをデッキの外に出すように構えます。かかと側に倒れないように、自然と後ろ足をわずかにつま先側に寄せる傾向があります。特に緩いトラックを使う人ほどこの傾向が強くなります。

この足の配置が肩を開く原因になります。肩を開くこと自体は問題ではありません。上半身を大きく振らない限り、回転する力は生じません

しかし、肩を開くと後ろ足がさらにつま先側にずれ、体の軸がわずかに傾きます。結果として体重がつま先側に過剰にかかるようになります。

体の軸がつま先側に傾いた状態では、垂直に弾くつもりでも実際のポップはその傾きに沿って行われ、かかと側へわずかに斜め下方向に押す力が生じます。

補足

この現象は、ショービットなどでは意図的に利用することができます。前方へ体重をかけ、つま先側に傾けた状態で下方向に弾くと、意識せずともボードが自然に回転し、わずかにつま先側へ流れます。 ただし、これはあくまでメカニズムを示すための例です。多くのトリックでは、体軸の傾きは望ましくありません。常に体の軸をまっすぐに保つことを意識しましょう。

オーバーポップ現象

オーバーポップとは何か

オーバーポップとは、必要以上に強い力でポップすることを指します。

前回の記事でも解説しましたが、オーバーポップすると前足のフリックが難しくなります。テールに過剰なエネルギーが伝わることで、前足がスライドやフリックできないほどノーズが強く跳ね上がってしまうのです。そのため、板が異常に重く感じられることがあります。

通常は、前足をスライドさせることでエネルギーの多くが吸収されます。しかし、強くポップしすぎると、前足がノーズに到達した後でも余分な力が残ってしまいます。この余分なエネルギーは消えることなく、どこかに逃げる必要があるのです。

余剰エネルギーがデッキを回転させる仕組み

ノーズが必要以上の力を受けると、通常フリックで止まるはずのタイミングを越えて、そのまま同じ方向へ進み続けてしまいます。つま先側には何も止めるものがないため、ノーズはさらに外側へ動いていきます。

一方、前足がノーズのヒール側の動きをブロックするため、エネルギーが上方向に逃げることはありません。この力のアンバランスによって、デッキが回転してしまうのです。

これを防ぐには、必要なだけの強さでポップすることが大切です。つまり、ノーズが前足のフリック位置に達した瞬間に、上方向の勢いが失われる状態が理想です。

そのためには、「ジャンプ」と「ポップ」の違いを理解することが役立ちます。まず太ももで体を持ち上げ、その後ふくらはぎでテールを弾くように意識しましょう。さらに詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。

オーバーフリック

オーバーフリックとは何か、そして何が起きるのか

オーバーフリックとは、デッキが回転するのに必要なエネルギーよりも強く前足をフリックしてしまう現象です。

時間の経過とともに何が起きるかを考えてみましょう。

  1. フリックすると、前足はデッキの側面から外れて、そのすぐ近くで止まるのが通常です。このとき、ノーズの側面を弾くことで、デッキはヒール側に開く動きが生じます。
  2. フリック動作の後、前足を再びデッキ上に戻す必要があります。その際、体の重心を中心に体が回転し、デッキはつま先側に閉じる動きが生じます(レギュラースタンスの場合は時計回り)。

この「開く力」と「閉じる力」をバランスさせることが、進行方向に対してデッキをまっすぐ保つために重要です。つまり「フリック時にヒール側へデッキを開くエネルギー」と「前足を戻すときに使うエネルギー」が等しくなることが理想的です。

通常のフリックとオーバーフリックの比較

オーバーフリックをすると、前足がデッキから遠くまで離れてしまいます。そのため、デッキに足を戻すまでにより大きな動きと力が必要となります。この力が過剰だと、慣性の法則により、板をキャッチした後も体が同じ方向に回転し続けてしまうのです。

補足

肩を開くこと自体が回転の原因ではありません。人によっては、むしろフリックをコンパクトにまとめ、デッキの近くで収めるのに役立つ場合もあります。

推奨と練習方法

テールをポップする前に、フリックの終点をあらかじめイメージしておくことを推奨します。これによりフリックをコンパクトに保ち、前足の動きが過剰に伸びることを防ぐことができます。
デッキに乗らずにフリックの動きだけを練習することで、着地を気にせず動作に集中できます。

詳細は過去のオーバーフリック解説もご参照ください。

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