定義
定義
ホイールベースとは、前輪と後輪の距離のことで、ステアリングアングル(後述)にも影響することが知られています。
スケートボードにおけるステアリングアングルとは、後ろのトラックと前のトラックの間の角度のことです。
緑の矢印:リアトラックの方向
青字の矢印:フロントトラックの方向
黄色の角度:ステアリングアングル
ホイールベースがターンに与える影響
スケートボードが曲がる仕組み
スケートボードは、足首を曲げたり、体の軸を傾けたりして、行きたい方向にトラックを押し下げることで曲がります。
トラックを押し下ると何が起こるのか
前方のトラックは青い矢印の方向、後方のトラックは緑の矢印の方向に向かおうとします。
このベクトルの和がスケートボードの進行方向となり、結果的に板と平行(または平行に近い)方向に向かう力を生成します。
板には前に進むエネルギーが働くのになぜ曲がるのか?
前に進むエネルギーに反して板が曲がるのは、内輪と外輪の移動距離の違いによるものです。
黄色で示した内輪の移動距離は、赤で示した外輪の移動距離より短いことがわかります。ボードが前に進もうとすると、外側の車輪の方が内側の車輪よりも長い距離を移動するため、ボードが回転するのです。
なぜロングボードは回転が遅いのか?
内輪と外輪の移動距離の差が与える影響は、ロングボードでは比較的小さなものになります。ホイールベースを100cmと仮定し、トラックを押し下げることで内輪の移動距離が外輪より10cm短くなるとします。
この場合、黄色い線の長さは赤い線と比較して10%短くなるだけです。このように、長いウィールベースでは、内輪差が回転半径に与える影響は非常に小さなものにとどまります。
短いボードのホイールベースが与える影響
逆に、ホイールベースが20cmのボードの場合、回転半径には大きな影響があります。トラックを押下げて外輪と内輪の移動距離を10cm短くすると、黄色の線は赤の線の長さの50%になります。これにより板は素早くターンすることになります。
ポップへの影響
実験の定義・仮説・条件
デッキの長さを変えずに、ホイールベースを変えて実験を行ってみます。物理シミュレーターを使い、ホイールベースが短い板の方が軽く弾けるかどうかを検証します。
1kgのボールを1メートルの高さから自由落下させてテールに当てます。ボールは最初に当たった直後に動作を停止します。
実験結果
ホイールベースが短いテールは地面と接触する一方で、ホイールベースが長いテールは空中にとどまることが分かりました。このことから、「ホイールベースが短いほど軽く弾ける」という通説は正しいことが証明されました。
短いホイールベース = ポップの角度が小さい
重い(5kg)ボールを使って同じ実験を繰り返してみましょう。この条件では、どの板のテールも地面にヒットしますが、ホイールベースが一番短い板(黄緑)の角度は低いままで、ホイールベースが一番長い板(青)の角度は大きくなることが分かります。
もし十分な力でテールをポップすることが出来るのであればテールが短い方が高いポップが出来る可能性が示唆されました。
この実験では、「ホイールベース」と「テールの端から後ろのトラックへの距離」は反比例します。つまり、ホイールベースが長いほど、テールの端から後ろのトラックへの距離が短くなります。
次回は、テールの長さを変えずに実験してみたいと思います。
どの板を買うべきか?
最終的にはあなたの目指すスタイルと好みによりますが、低いポップの方が楽になるトリックがあることを忘れないでください。
例えば、キックフリップのポップについて解説した際に述べたように、テールが地面にヒットしたときに板の角度が大きくなりすぎるとタイミングによってはフリックしづらくなる場合があります。