スラッピーノーズスライドを科学的に分析

Last updated: 2024/10/12

スラッピーノーズスライド。オーリー無しで手軽にできるスライドトリックです。足のすぐ裏でデッキがコンクリートで削られる感覚はあなたもきっと好きになるでしょう。

物理的な現象を理解することで、このトリックは一気に楽になります。一番の要因は角度にあります。障害物に直角にアプローチした方がノーズを掛けやすい一方で、スライドするためには平行にアプローチする必要があるためです。この動画では、3Dアニメーションを使ってスラッピーノーズスライドでノーズを掛けるコツや、スライドへの移行方法をわかりやすく解説します。

サマリー

アプローチの角度と慣性

スライドを成功させるには、障害物に対してほぼ平行にアプローチすることが重要です。乗る直前に板を回転させることで、板が障害物に進む一方で、体にはより大きな慣性が働き、障害物と平行に移動し続けます。このタイミングが成功の鍵です。

障害物に板を掛ける際の注意

板を障害物に掛けると、スラッピーではかかと側のウィールとノーズが障害物に接触するため、強い摩擦が発生します。トラックのベースや障害物の側面にワックスを塗ることで滑りやすくし、スムーズなスライドを実現できます。

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ノーズを掛ける方法

スライドする前に、ノーズを障害物に乗せる練習から始めましょう。前足をノーズの上、後ろ足をテールにおきます。障害物に対して直角にアプローチし、軽くマニュアルしながら近づきます。タイミングを合わせてノーズを下ろせば障害物に乗ることができるはずです。

この動作は、意図的に体重を移動させる動作とは100%同じではないことに注意してください。前方のウィールが障害物にぶつかったあと、体の運動エネルギーは慣性に従って同じ方向への動作を継続します。これによって前方のウィールを中心に体重が障害物に乗り上げるように移動することになります。

この動作を活用すれば、ある程度の高さの障害物なら乗ることができます。足首くらいの高さの縁石でも、膝くらいの高さの障害物でも、テールを踏んだ時にノーズが到達できる高さまでなら乗ることができます。もちろん、最初は低い障害物から試した方が安全です。

スラッピーノーズスライドの物理学

ただし、この練習と実際のスラッピーノーズスライドの動作には違いがある点に注意してください。実際のスラッピーノーズスライドでは、障害物に対して角度をつけずにアプローチし、障害物に乗るときの板の角度も45度程度にとどまります。45度という小さな角度では障害物に乗り上げるノーズの面積が小さくなるため、板がずり落ちてしまうのではないかと感じるかもしれませんが、これが成立するのには物理学的な根拠があるのです。

この謎を解明するため、トリックを時系列に沿って考えてみましょう。障害物と平行に近い角度でアプローチしている間は、当然板と体の重心は同じスピードで同じ方向に進んでいます。

障害物の直前で板は角度を変え、障害物に乗り上げる時点では板は45度程度回転していることになります。板が回転するため、体の重心も影響を受け、障害物方向に進もうとする力が働きます。ただ、体の重心には慣性が働くため、完全に板と同じ方向に進むわけではなく、より強く進行方向側への運動を継続します。

板が障害物に乗った瞬間、かかと側のウィールが障害物の側面にぶつかることで、板が障害物方向に進めなくなります。板にはまだ障害物方向に進もうとする力が残っているため、踵側のウィールを中心に板全体が回転し、ノーズの根元まで板が押し込まれるように動きます。

更に、体の重心にも障害物方向に進もうとする力が働くため、板の上にあった重心が障害物方向に移動します。また、障害物の直前で体を開くように回転させたため、体には同じ方向に回転を継続しようとする慣性が働きます。このように、体の重心もノーズをより深く押し込みながら板を回転させようとする力を発生させることがわかります。

重要なのは、障害物に乗った時点で板は斜めになっており、滑りながら90度まで回転を継続するという事です。この概念を頭に置きながら実際のトリックのやり方を考えてみましょう。

やり方

アプローチ

まずはアプローチです。スラッピーノーズスライドではかかと側のウィール、ノーズの裏面、場合によってはシューズの踵が障害物に接することになり、障害物との間に大きな摩擦が発生します。そのため、長い距離をスライドするためにはある程度のスピードが必要になります。

また、どうしても滑らない場合は、大きな摩擦が発生するトラックの付け根や、障害物の側面にワックスを塗ることも効果的です。

先ほどから障害物に平行にアプローチすると言っていますが、実際のところは10~15度くらいの角度になる事が多いです。体に働く運動エネルギーが障害物方向に向かいすぎていると、障害物に乗り上げてしまうことがあります。アプローチの角度はなるべく小さく保つようにしてください。

板を回転させる

ただし、10~15度程度の角度では障害物に十分に体重を乗せることができずにずり落ちてしまうため、障害物に乗る直前に板を回転させる必要があります。動画では、マニュアルした状態で板を回転させているように見えますが、実際には単純にターンして板を回しているわけではありません。

スラッピーノーズスライドのカギとなるこの動作を分析すべく、再現してみましょう。マニュアルした状態でジャンプしてみてください。テールが地面に到達する必要はなく、体重が軽くなるのを感じられれば十分です。

今度は動きながらマニュアルし、肩を開く動作に合わせて体重を浮き上がらせてみましょう。すると、オーリーすることなく板が回転を始めることが分かるはずです。スラッピーノーズスライドではこの感覚を利用します。

ノーズを乗せる

板を回転させる動作に慣れてきたら障害物にノーズを乗せてみましょう。ノーズは板が45度ほど回転した状態で障害物に乗ることになります。

もし板がずり落ちてしまう場合は、乗りに行く位置を調整してみてください。このアニメーションをもとにすると、障害物に乗る際に、前足を遠くに伸ばすほど板と障害物の角度が小さくなることが分かってもらえると思います。

つまり、板がずり落ちてしまい、もっと板の角度をつけたい場合は、普段ノーズを掛けようとしている場所よりも近い場所を狙ってみてください。

ただし、障害物の滑りやすさによっては、ある程度重心を板の後ろに置いて板を前に押しだすようにする必要がある場合があります。その場合は後ろ足も前に出して、板の角度を調整するようにしましょう。

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