概要
ボードを前に押し出し、膝は伸ばしすぎない
バックサイドノーズスライドでは、シューズとデッキ、そしてレッジの間に常に大きな摩擦が生じます。長く滑るためには、この抵抗に対抗するために腰を引き、ボードを前方へ押し出す必要があります。ただし、前膝を伸ばしすぎないように注意してください。膝が伸びきると、ボードが前方に飛び出してしまいます。
「乗ってから回す」ではなく、「回してから乗る」
膝が伸びた状態では、ボードをレッジに強く押しつけてしまい、摩擦がさらに増加します。ロックイン後も体重がかかと側に残り、ブレーキのような力が働いてしまうのです。これを避けるためには、ボードを回してから乗るという意識を持ち、摩擦を最小限に抑えましょう。
オーリーの高さは最小限に
多くの場合、テールが地面についた時点でノーズはすでにレッジの高さを超えています。その状態で強く弾くと、ロックイン時に不要な摩擦が発生し、スライドが続かなくなります。レッジの高さに合わせ、軽く低めのオーリーを意識しましょう。
前後位置:膝が伸びすぎることの問題
スライド中、レッジ上面とノーズまたはシューズの底、レッジ側面とウィールの間には抵抗が生じます。そのため、ボードの真上に立つとノーズが引っかかり、体が前方へ投げ出されることがあります。これを防ぐには、重心をわずかに後方へずらし、ノーズを前方へ押し出すことが効果的です。
ただし、このとき膝の角度には注意が必要です。膝を曲げたままでも伸ばしたままでも腰を引くことはできますが、膝が伸びすぎるとノーズを押し出す力が過剰になり、ボードが飛び出してしまいます。バックサイドノーズスライドでは、狙いすぎて前膝が伸びすぎる傾向があります。その場合、スラッピーノーズスライドのようにボードをレッジへ押し込み、角度を90度近くまで上げようとしてしまいます。問題は、押し込めば押し込むほど、ボードとシューズ、レッジの間に摩擦が増してしまうという点です。
前膝が曲がっているとき、荷重は足裏全体に広く分散されます。しかし膝が伸びると、力がかかとに集中し、その部分がノーズより前に出やすくなります。結果として、レッジ上面との摩擦が増大します。つまり、抵抗を乗り越えるためにボードを前へ押し出すこと自体は正しいものの、膝を伸ばしすぎると不要な摩擦が生まれ、スピードが失われるのです。十分にワックスを塗っているのに滑らない理由はここにあります。さらに膝が伸びた状態では、ノーズを押さえたり弾いたりする動作ができず、最終的に「滑り落ちる」以外の選択肢がなくなってしまいます。
前後位置:解決のヒント
「ノーズに乗ってから回す」のではなく、「先に回してから乗る」という意識を持ちましょう。肩を開きながら、ボードを回さずにオーリーを弾く——この“ひねり”が重要です。体がすでに回転しているため、前足を上げたあと自然と元の位置に戻ろうとする動きが生まれます。その反動でノーズを前に落とし込み、レッジへと導くことができます。
この動きはフロントサイド180とは異なります。フロントサイド180では、体とボードが同時に回転します。バックサイドノーズスライドで同じように回すと、回りすぎたり、レッジに正しく乗れなかったりします。また、どうしてもフェイキーで降りてしまう場合は、この点を疑ってみてください。要するに、フロントサイド180では上昇中に体とボードが一体で回転しますが、BSノーズスライドでは体が先に回り、前足が後からボードを導くように動くのです。
左右位置
長くスライドするためには、頭、前足、そしてレッジの縁ができるだけ近い位置関係になることが重要です。つまり、タイミングが極めて重要になります。レッジから離れすぎた位置でオーリーすると、ノーズをレッジに乗せるために再び膝を伸ばす必要が生じます。その結果、体重がレッジから外れた位置に残り、安定したスライドができなくなります。
逆に、レッジに近づきすぎて弾くと、前輪がレッジの上に乗ってしまうことがあります。
ロックインする前から、常にレッジの方向を意識しておきましょう。私はいつも頭の中に「ミニマップ」があるような感覚で滑っています。レッジの角度に応じて、どれくらい内側へ飛び込むかを調整することが大切です。
練習方法
それでは、練習のステップを見ていきましょう。まずはノーズストールから始め、ノーズに体重を乗せる感覚に慣れてください。アプローチ角度を90度から徐々に浅くしていく方法もありますが、私はあまりおすすめしません。理由は、レッジの上でボードを行き過ぎてしまいやすいからです。たとえスピードが遅くても、レッジに平行にアプローチする方が安定して練習できます。
レッジからスケートボード2枚分ほどの距離でオーリーを弾き、肩を開きながら前足でノーズをロックさせます。このとき、膝を伸ばしすぎないようにボードを体に近づけて着地することを意識してください。ボードを置く際は膝を曲げたまま、アプローチのスピードやレッジの素材に応じてノーズを押し出す量を調整しましょう。
また、オーリーを高く弾きすぎたり、低すぎるレッジを使うことも避けましょう。テールが地面にある時点で、ノーズはすでにレッジより高くなっていることが多いのです。そこからさらに高く弾くと、ボードとレッジの摩擦が増してしまいます。適度な高さのレッジを選ぶことが理想です。
もしどうしても引っかかってしまう場合は、ベースプレートの側面にワックスを塗ってみてください。よく観察すると、ウィールがレッジに触れていないことが多いのがわかります。私の場合、この部分が特にすぐに擦り減るため、ここにワックスを塗るとスライドが格段にスムーズになります。
